2022 Fiscal Year Research-status Report
鋳型周囲の未分化細胞と組織体による顎裂部の骨再生誘導技術開発
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21K09931
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 洋子 (大山洋子) 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40897857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古村 眞 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (10422289)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 鋳型 / 鋳型周囲被包化組織 / 骨再生 / 同所性 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスの頭蓋骨に3.5㎜径の骨欠損部位を作成して2か月間経過観察した。その結果、4週間で約1%の面積の自己再生を認め、8週間で約1.6%の骨の自己再生を確認した。このことから、3.5㎜径の欠損がクリティカルサイズであることを確認した。 マウス頭蓋骨の3.5㎜径欠損を骨の自己修復されないモデルとして、腹壁筋肉上の皮下に鋳型を2週間移植して、鋳型周囲の被包化組織を骨欠損部位に移植したが、移植4週後に骨の自己再生は認められなかった。 同様にマウス頭蓋骨に3.5㎜径の欠損部位を作成し、同部位の脳側にシリコン鋳型を移植すると約4週間で鋳型の皮膚側に骨断端より骨と考えられる基質が自己再生することを確認した。この基質は、アルフォスで染色され、アリザリンレッドでも染色を認めた。さらには、骨髄と考えられる組織がH&E染色で認められており、短期に成熟した骨の自己再生が可能であることが示唆された。この鋳型形状、移植位置について検証し、再現性を高める実験を行っている。同所性の鋳型周囲の線維性組織には、periostin, Runx2, Osterix陽性の細胞を免疫組織学的に確認しており、腹壁筋肉上の皮下に移植した鋳型にはそのような細胞は認められなかった。骨欠損部位に移植した同所性の鋳型は、骨膜に類似した組織体を形成し、骨形成因子を誘導することによって、骨欠損部位の自己再生を促進しているものと考えられた。鋳型の位置が骨断端に位置して、骨断端から線維性組織が誘導されることが最も重要なポイントではないかと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨の自己再生促進技術が、同所性の鋳型被包化組織体によって可能であることが確認された。鋳型の形状、移植位置の大まかな条件設定がなされ、おおむね再現性も検証されている。
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Strategy for Future Research Activity |
骨欠損部位に移植する同所性鋳型の再現性を高めて、生分解性鋳型による骨自己再生を検証して、知財化を目指す。また、皮下移植の鋳型周囲組織では骨再生されず、同所性鋳型周囲の組織では骨の自己再生促進されるメカニズム解析のために、鋳型周囲組織を採取して遺伝子レベル、タンパクレベルでの比較検討を行う。
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Causes of Carryover |
同所性鋳型周囲組織での骨の自己再生という結果が得られ、プロテオーム解析を行うことができなかった。来年度プロテオーム解析を行う予定である。
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