2021 Fiscal Year Research-status Report
エピジェネティクスをターゲットとした歯科用金属の細胞親和性の検証
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21K09939
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
大友 麻衣子 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (20453277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安彦 善裕 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90260819)
齊藤 正人 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50337036)
根津 尚史 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (40264056)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / 歯科用金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科金属材料の安全性については古くから検討が行われ、安全性の高い材料が広く用いられている。安全性の検証には、材料の組織適合性を、培養細胞を用いた細胞毒性試験から始まり、動物を用いた異物反応やアレルギー反応の有無などについて検証されている。外的な慢性刺激によって引き起こされる遺伝子修飾にエピジェネティクスがある。エピジェネティクス変化は悪性腫瘍や様々な生活習慣病の発症に関与しているが、歯科金属材料の安全性をエピジェネティクス変化から検証した報告はみられない。本研究では、現存する歯科金属材料をエピジェネティクス変化からその安全性について検証する。 今年度はまず、ヒト歯肉線維芽細胞(ScienCell Research Laboratories社)に対するニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)の細胞毒性試験を行なった。ヒト歯肉線維芽細胞をニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr) 、チタン(Ti) で3日間の刺激培養条件下による細胞毒性試験の結果、ニッケル(Ni)100μM濃度、ジルコニウム(Zr) 200μM濃度、チタン(Ti) 200μM濃度で有意な細胞毒性を認めた。次いで、ヒト歯肉線維芽細胞に対するニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)の影響をメチル化レベルで検討した。ヒト歯肉線維芽細胞をニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr) 、チタン(Ti) で2週間刺激培養後、定量的メチル化特異的PCR法を行なった結果、interferon-gamma (IFN-γ)のプロモーター領域のCpGアイランドにおいて、ニッケル(Ni)刺激群でのメチル化レベルが対照群に比べメチル化率の有意な低下を認めた。プロモーター領域のCpGアイランドでのメチル化率低下は遺伝子発現を促進すること、および、IFN-γは炎症を促進する炎症性サイトカインであることから、ニッケル(Ni)はヒト歯肉線維芽細胞に対しメチル化変化が影響して炎症を誘発する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、ヒト歯肉線維芽細胞に対する金属の細胞毒性試験に時間を要したことで、予定していた金属刺激培養条件下での長期培養を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、ヒト歯肉線維芽細胞における金属刺激培養条件下での長期培養を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、今年度に予定していた金属刺激培養条件下での長期培養を行うことができなかったことが挙げられる。次年度は、長期培養を行うことで次年度使用額を使用する予定である。
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