2023 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティクスをターゲットとした歯科用金属の細胞親和性の検証
Project/Area Number |
21K09939
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
大友 麻衣子 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (20453277)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安彦 善裕 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90260819)
齊藤 正人 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50337036)
根津 尚史 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40264056)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | エピジェネティクス / 歯科用金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科金属材料の安全性については古くから検討が行われ、安全性の高い材料が広く用いられている。安全性の検証には、材料の組織適合性を、培養細胞を用いた 細胞毒性試験から始まり、動物を用いた異物反応やアレルギー反応の有無などについて検証されている。外的な慢性刺激によって引き起こされる遺伝子修飾にエピジェネティクスがある。エピジェネティクス変化は悪性腫瘍や様々な生活習慣病の発症に関与しているが、歯科金属材料の安全性をエピジェネティクス変化か ら検証した報告はみられない。本研究では、現存する歯科金属材料をエピジェネティクス変化からその安全性について検証する。 最終年度は、前年度までの結果を元に再度条件を見直して実験を行なった。まず、ヒト歯肉線維芽細胞(HGnF, ScienCell Research Laboratories社)に対するニッケル(Ni)、チタン(Ti)の細胞毒性試験を行なった結果、Ni(100μM)およびTi(200μM)ぞれぞれの濃度で有意な細胞毒性を認めた為、以降の実験をNi(50μM)およびTi(100μM)ぞれぞれの濃度で行なった。次いで、HGnFをNi(50μM)およびTi(100μM)による刺激で2週間培養を行い、mRNA発現解析およびDNAメチル化解析を行なった。定量的PCR法の結果、NiおよびTi刺激において、Control(無刺激)に比べ炎症性サイトカインであるInterleukin-6 (IL-6)mRNA発現の有意な上昇を認めた。定量的メチル化特異的PCR法の結果、NiおよびTi刺激において、Controlに比べIL-6での有意なDNAメチル化率低下を認めた。 以上より、HGnFにおけるNiおよびTi刺激は、エピジェネティクスのひとつであるメチル化変化を介してIL-6のmRNA発現変化を引き起こすことが示唆された。
|