2021 Fiscal Year Research-status Report
チタン合金の電解処理による表面改質の歯科補綴装置への応用
Project/Area Number |
21K09942
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
米山 隆之 日本大学, 歯学部, 教授 (00220773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塙 隆夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (90142736)
小泉 寛恭 日本大学, 歯学部, 准教授 (20339229)
陳 鵬 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (70708388)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | チタン合金 / 表面改質 / 歯科補綴装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
①チタン合金試料:生体用チタン合金であるTi-6Al-7Nb合金およびTi-15Mo-5Zr-3Al合金について、各種試験を実施する予定であったが、Ti-15Mo-5Zr-3Al合金が入手不能となったため、代替組成としてTi-6Al-4V合金を設定した。また、コントロールとしては当初予定したJIS 2種ではなく、より高強度のJIS 4種の純チタンを使用することとした。試験片の作製方法としては、歯科鋳造による方法では鋳造欠陥による表面性状の影響が避けられないため、機械加工による方法を採用し、接着性試験で実績のある直径10 mmの円板状試験片を作製した。 ②チタン合金の電解処理条件:Ti-6Al-7Nb合金およびTi-6Al-4V合金表面の電解処理方法は、電解液:水57.2%+グリセリン35.7%+乳酸7.1%、対極:純チタン、作用極-対極間距離:35 mm、電解電圧:50 Vの条件に設定した。 ③表面改質チタン合金の耐食性評価:Ti-6Al-7Nb合金およびTi-6Al-4V合金の耐食性評価は、0.9%生理食塩水中でのアノード分極試験によって検討することとし、測定表面の条件は#1,500に設定した。 ④表面改質チタン合金の接着面処理条件:チタン試料を用いて剪断接着試験を行った結果、MDPとVBATDTを含有するプライマーで良好な接着耐久性を示し、3-TMSPMAの含有は影響しないことが判明したため、この系に基づいたプライマー処理を設定することとした。臨床における被着面処理を考慮するとアルミナブラスト処理を実施することになるが、本研究では耐食性試験条件との関連から、表面仕上げは#1,500の条件に統一することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
チタン合金試料:生体用チタン合金として使用予定であったTi-15Mo-5Zr-3Al合金が入手不能となったため、代替組成としてTi-6Al-4V合金を設定した。また、コントロールとしては当初予定したJIS 2種ではなく、より高強度のJIS 4種の純チタンを使用することとした。試験片の作製方法としては機械加工による方法を採用したが、試験片の作製費用が予定より高額であったため、接着性試験で実績のある直径10 mmの円板状試験片に統一した。 表面改質チタン合金の接着面処理条件:チタン試料を用いて剪断接着試験を行ってプライマー処理条件を設定したが、試験片の作製費用が予定より高額であったため、臨床における被着面処理であるアルミナブラスト条件を採用せず、耐食性試験条件と同様の#1,500に統一することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
①チタン合金試料:生体用チタン合金であるTi-6Al-7Nb合金およびTi-15Mo-5Zr-3Al合金から変更したTi-6Al-4V合金について、直径10 mmの円板状試験片を機械加工で作製する。コントロールとしてはJIS 2種から変更した4種の純チタンを使用する。 ②チタン合金の電解処理条件:チタン合金の表面改質方法については、既に良好な結果が得られている電解処理の方法で実施する。 ③表面改質チタン合金の耐食性評価:チタン合金試料について0.9%生理食塩水中でのアノード分極試験を実施し、腐食電位、孔食電位、不動態安定性を基準に耐食性を評価する。さらに、表面改質を施したチタン合金試料について同様の方法で耐食性を評価し、表面改質による耐食性の改善の程度を比較評価する。この結果を②のプロセスにフィードバックすることにより、表面改質条件を確定する。 ④表面改質チタン合金の接着面処理条件:表面改質したチタン合金試料について、MDPとVBATDTを含有するプライマーで接着面処理を行い、剪断接着強さ並びに接着耐久性を評価する。 ⑤チタン合金-コンポジットレジン複合体の接着性評価:表面改質チタン合金を使用してコンポジットレジンとの接着性を評価する。 ⑥チタン合金-コンポジットレジン複合体の耐食性評価:チタン合金-コンポジットレジン複合体試料についてアノード分極試験によって耐食性を評価し、表面改質による耐食性の改善の程度を比較評価する。 ⑦チタン合金-コンポジットレジン複合体の力学的信頼性評価:チタン合金-コンポジットレジン複合体試料を作製し、ISO 6872に準拠した力学的試験によって力学的信頼性を評価する。 ⑧総括評価:全項目で総合的に良好な性質を示した系の複合体の特性および作製技術に関し、臨床応用の観点から総括的な検討を行い、実用化に向けた評価を実施する。
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Causes of Carryover |
学会のオンライン開催への変更等によって13,736円の未使用額が生じたため、次年度への繰越額として、令和4年度助成金と合わせて実験材料の購入に使用する予定である。
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