2023 Fiscal Year Research-status Report
Crouzon症候群FGFR2変異型の硬組織形成異常解明による治療薬探索
Project/Area Number |
21K09943
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
鳥居 大祐 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (10548259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 憲一郎 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (80267260)
筒井 健夫 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (70366764)
平島 寛司 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (50824661) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Crouzon症候群 / 頭蓋縫合早期癒合症候群 / FGFR2 / ゲノム編集 / 一塩基置換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、頭蓋縫合早期癒合症候群の1つであるCrouzon症候群の形態異常に関連する分子メカニズムの解明を行い、発症や症状進行に対し抑制可能な治療薬の選出を目指し研究を行っている。 Crouzon症候群は上顎骨や歯など硬組織の形成異常が見られることから、硬組織形成能を有するヒト歯髄幹細胞から不死化細胞を作製し分化能の解析を行った。現在、この不死化歯髄幹細胞をベースにCrouzon症候群モデル細胞作製を進めている。 また、Crouzon症候群の原因であるFGFR2(Fibroblast growth factor receptor 2)の点変異で最も報告の多いCys342Tyrと、我々が先行研究で報告したGly338Argの変異について、それぞれ変異型FGFR2発現ベクターを作製し歯髄幹細胞に導入後、FGFR2下流のリン酸化経路の伝達分子であるprotein kinase C(PKC)の刺激剤のphorbol 12-myristate 13-acetate(PMA)を作用させ、硬組織関連遺伝子の1つであるbone gamma-carboxyglutamate protein(BGLAP)の発現を解析した。その結果、変異型FGFR2発現ベクターを導入した歯髄幹細胞は野生型FGFR2発現ベクターを導入した歯髄幹細胞と比較しBGLAP発現が高い傾向が見られ、PMA作用でBGLAP発現は上昇したが、野生型FGFR2発現ベクターを導入した歯髄幹細胞と比較しCys342Tyr変異型FGFR2発現ベクターを導入した歯髄幹細胞ではPMA作用によるBGLAP発現上昇率がやや低い傾向が見られた。したがって、BGLAP発現はPKC活性化によって上昇し、Crouzon症候群の変異型FGFR2を発現させた歯髄幹細胞の硬組織形成においてPKCを介するリン酸化シグナル伝達系に異常のあることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、不死化細胞作製後にFGFR2の変異に関してゲノム編集を用いた一塩基置換を行いCrouzon症候群モデル細胞を作製し、Crouzon症候群の分子メカニズムを解析する予定であったが、前年度までのCOVID-19の影響による物流遅滞等が重なり、進捗状況は予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
Crouzon症候群のFGFR2変異に関してCRISPR/Cas9システムによる一塩基置換を行いFGFR2Cys342Tyr変異細胞を作製し、硬組織形成関連遺伝子の発現および細胞内情報伝達の変化を正常細胞と比較解析する。また、その解析結果をクラウド型ナレッジベースへアップロードすることで、治療薬候補の選出を行う。
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Causes of Carryover |
前年度までのCOVID-19による物流遅滞等により、今年度にゲノム編集実験で使用予定であった研究試薬類の使用が進まなかったため、次年度使用額が生じている。 今後、当初の計画に沿ってゲノム編集細胞のシーケンス解析等を進める予定でおり、次年度分として請求した金額と合わせて使用させていただく予定である。
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