2022 Fiscal Year Research-status Report
高純度ヒト口腔間葉系幹細胞・造血系幹細胞のシンプルな分離法と均一細胞治療法の開発
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21K09959
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中川 種昭 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00227745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 暁 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (00424169)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヒト間葉系幹細胞 / ヒト造血系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「ヒト歯髄組織に存在する幹細胞の解析」を進める橋渡しプロジェクトである。医療廃棄物であり、毎日歯科医療機関で破棄されている抜去歯から、純度の高い間葉系幹細胞と造血系幹細胞を分離し、組織再生メカニズムを免疫組織学的手法と画像解析によって明らかにすることを目的としている。血液悪性疾患に対しては造血幹細胞による、そして骨・軟骨・筋疾患に対しては間葉系幹細胞による安全で確実な歯髄幹細胞療法を確立することを目的としていた。 2022年度は研究課題の実験を行った結果、本研究課題の一部変更が必要であり、それが科学的かつ臨床的に有用性が高いと判断する結果を得た。 間葉系幹細胞について。予定通り、ヒト抜去歯歯髄からCD271およびCD90を指標に純度の高い間葉系幹細胞の分離に成功しているが、単一マーカーとしてCD73を指標にも分離を開始し、 CD271/CD90とCD73間葉系幹細胞の増殖能および分化能の評価を予定している。その一方で歯科医師が採取しやすいある口腔組織に着目し、間葉系幹細胞の定義を満たす細胞群が存在するかどうかに関して、検証を開始した。 造血系幹細胞について。共同研究機関との解析の結果、通常のヒト歯髄組織にはCD34+(CD38-)の造血系幹細胞がほどんど存在しないことが明らかとなった。そこで、本研究課題名である「高純度ヒト口腔間葉系幹細胞・造血系幹細胞のシンプルな分離法と均一細胞治療法の開発」のコンセプトはそのままに、通常であれば医療廃棄物として処理される「顎変形症に対する骨切術後の余剰骨片」にフォーカスをあて、同様の実験・研究を開始している。現在、口腔顎顔面領域の余剰骨片から幹細胞を分離するためのプロトコールを立案、検証、実行して解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で述べた通り、2022年度は研究課題内容の一部変更が必要となる実験結果を得た。「やや遅れている」とご報告させていただきますが、本研究課題全体からみれば、前進につながる変更と考えています。まだプレリミナリーではあるものの、研究内容の一部変更によって臨床的有用性が高い結果も得られ始めています。
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Strategy for Future Research Activity |
間葉系幹細胞について。歯科医師が採取しやすいある口腔組織に着目し、間葉系幹細胞の定義を満たす細胞群が存在するかどうかに関して、検証を開始している。現在、マウスを中心に検証を行っており、本研究課題の内容の通り、ヒト検体でも検証を開始していく予定です。 造血系幹細胞について。共同研究機関との解析の結果、通常のヒト歯髄組織にはCD34+(CD38-)の造血系幹細胞がほどんど存在しないことが明らかとなった。そこで、本研究課題のコンセプトはそのままに、通常であれば医療廃棄物として処理される「顎変形症に対する骨切術後の余剰骨片」にフォーカスをあて、同様の実験・研究を開始している。現在、口腔顎顔面領域の余剰骨片から幹細胞を分離するためのプロトコールを立案、検証、実行して解析を進めている。in vitroおよびin vivoの実験内容は、申請書の予定通り行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度は研究課題の実験を行った結果、本研究課題の一部変更が必要であり、それが科学的かつ臨床的に有用性が高いと判断する結果を得た。この結果が出た時点で、当初の予定通りの研究遂行は一時止めた。2023年度は本研究課題の主旨はそのままに、注目する口腔組織の変更を行うことで、より社会貢献できるかたちで本研究課題を進めていけると考えている。また、2022年度も新型コロナウィルス感染症拡大により、予定していた国際学会および国内学会への参加がweb参加のみとなり、そのための未使用額が生じた。
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