2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K09962
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小泉 寛恭 日本大学, 歯学部, 准教授 (20339229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平場 晴斗 日本大学, 歯学部, 助教 (00800989)
小平 晃久 日本大学, 歯学部, 助教 (70843150) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高光透過性歯科用ジルコニア |
Outline of Annual Research Achievements |
①ジルコニアに対して、どのフッ素化合物が有効であるかまたその処理条件: フッ素化合物は、常温で安定した粉末状を呈した、二フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)およびフッ化水素カリウム(KHF2)を選択した。ジルコニア陶材は従来型の3mol%イットリア部分安定化ジルコニア(3Y-TZP)および光透過性のある6mol%イットリア部分安定化ジルコニア(6Y-PSZ)を選択した。選択した焼付用陶材は、3Y-TZP、6Y-PSZともに同一の材料を使用した。フッ素化合物は、メノウ乳鉢にて粒径約1 umとなるよう粉砕した。エッチング処理条件は、ジルコニア円形試料上にフッ素化合物粉末(100 mg)を載せ、各粉末材料の融点を考慮し、NH4HF2では170℃、KHF2では280℃に加温し処理を行った。エッチング処理後、蒸気洗浄機を用いて15秒清掃を行い試料とした。 ②ジルコニアへの焼付強度の評価: エッチング処理後のジルコニア表面に前装用歯冠色陶材を焼付け、各種ジルコニアに対して接着強度の測定(せん断接着試験)および熱衝撃による接着耐久試験(5-55℃,20,000回)を行った。なおせん断接着力をジルコニアへの焼付強度とした。その結果、未処理では3Y-TZPでは 2.2 MPa、6Y-PSZでは 1.7 MPaのせん断強さを示した。エッチング処理後では3Y-TZPへのKHF2処理 14.3 MPa、6Y-PSZへのKHF2処理 12.6 MPa,3Y-TZPへのNH4HF2処理 12.6 MPa、6Y-PSZへのNH4HF2処理 9.2 MPaを示し、未処理と比してエッチング処理が有意に高いせん断接着強さを示した。このことからジルコニア表面へのフッ素化合物によるエッチング処理が、陶材焼付強度を増加させることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高光透過性ジルコニアに対して、フッ素化合物を加熱し表面をエッチング処理することにより、陶材焼付強度および耐久性を増加させることが明らかとなった。比較的時間のかかる接着耐久試験は終了したが、学会発表および論文投稿へは、試料の表面分析が不可欠である。今後は、研究実施計画に基づいてエッチングされたジルコニアの表面解析および観察を行い、学会発表および論文投稿を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
①エッチング処理したジルコニア表面の分析:X線回折法を使用し、表面の結晶構造が処理前後でどのように異なるのかを分析する。 ②エッチング処理したジルコニア表面の観察:電界放出形走査電子顕微鏡を使用し、強拡大にてエッチング処理のジルコニア結晶構造への影響を観察する。また、せん断接着試験後の試料表面について、ジルコニア表面へ焼付けた陶材の残渣の状況を観察することにより、破断面の分析、評価を行う予定である。 ③ジルコニアフレーム材の開発は日進月歩であり、正方晶、立方晶を組み合わせ透光性をグラデーションした製品も開発されてきている。申請時においては6Y-PSZが新規製品であったが、今後透光性を変化させた製品へのエッチング効果も明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画通り経費を使用したところ、消耗品が安く購入できたため、7,880円の次年度使用額が生じた。残金と令和4年度の助成金をあわせて陶材材料や試薬の購入、英文投稿費などに有効利用する予定である。
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