2021 Fiscal Year Research-status Report
ラマン分光法によるインプラント埋入周囲組織の骨質解析
Project/Area Number |
21K09966
|
Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
岡崎 定司 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (80169094)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 靖之 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究室長 (00416330)
PEZZOTTI G. 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 教授 (70262962)
小正 聡 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (70632066)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | Raman分光法 / 純チタン金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、インプラント治療は補綴治療において欠かせない選択肢の一つである。治療期間の短縮のため、材料表面に様々な表面処理が施され、我々も多くの表面改質に取り組んだものの、明確なエビデンスは未だ明らかではない。インプラント治療は骨を基本とした治療法であり、骨量や骨質を含めた骨強度がどのように変化するか検討する必要がある。しかし、実際のところ、骨密度や骨量が判断されるものが多くであり、骨質は適切な評価法が歯科領域においても重要である。ラマン分光法は骨の成分であるコラーゲンやハイドロキシアパタイトの化学構造に関する情報を得られる手法として注目されている。そこで、本申請研究は主要なインプラント材料の一つである純チタン金属への表面処理がインプラント埋入周囲組織の骨質にどのような影響を与えるのか検討することで、様々な臨床上の問題を解明するとともに明確なエビデンスの策定を目指す。はじめにTNS構造形成プロセスについては、純チタン金属円盤を10M水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し,30℃で24時間攪拌させて反応を進行させる。所定時間後にイオン交換水で洗浄を繰り返し、Na等の溶存イオンの除去を行う。この後、自然乾燥することで試料を得る。その後、Affinyを使用したUV処理群、ピエゾブラッシュを用いた大気圧プラズマ処理群、アルカリ処理のみの群、無処理の群の4群に分けて実験を行う。得られた材料の表面構造を走査型(SEM、SPM)電子顕微鏡で観察するとともに、表面構成元素分析をXPSにて解析評価する.また、タンパク質吸着試験を行い、表面の生体親和性を評価する。本年度はナノ構造を析出させた純チタン金属表面へのプラズマ処置がどのような影響を与えるのか検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SEMによる観察結果では,実験群および対照群でナノメーターレベルの網目状構造と推察される構造が示された。プラズマ処理により,チタン金属板表面に変化は認められなかった。また,実験群の純チタン金属表面は超親水性を示し,アルゴンプラズマ処理群で最も低い接触角を示すことが明らかとなった.また,すべての計測時間において,骨髄細胞の初期接着,ALP活性およびカルシウム析出量,遺伝子マーカーの発現が対照群と比較して実験群において高い値を示した.骨髄細胞を播種した材料表面では実験群の材料表面で細胞突起の明確な伸長を認めた。以上の結果より濃アルカリ処理した純チタン金属板にアルゴンプラズマ処理を施すことにより,純チタン板表面の性状を変化させずに超親水性を付与することにより骨髄細胞の初期接着能および硬組織分化誘導能に影響を与えることが明らかとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、京都工芸繊維大学のラボにおいて、Raman分光法の撮影を開始している。一部、材料表面の処理により、アパタイトの形成ができていることが明らかとなった。今後とも継続してRaman解析を続けていく予定である。
|
Causes of Carryover |
RAMAN分光法用の試料作成を前年度に依頼し、次年度にまたがったため
|