2021 Fiscal Year Research-status Report
静電誘導型発電シートを用いたウェアラブル型リアルタイム咬合力測定方法の開発
Project/Area Number |
21K09969
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
依田 信裕 東北大学, 大学病院, 講師 (20451601)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30178644)
土方 亘 東京工業大学, 工学院, 准教授 (30618947)
伊藤 浩之 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (40451992)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 咬合力 / 静電誘導型発電シート / パラファンクション / オクルーザルスプリント / IoT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,ヒト口腔内における噛みしめや咀嚼などの機能時における歯列上の咬合接触状態,ならびに同部位にて発揮される咬合力を調査可能なセンシングデバイスとして,加わる圧縮力に応じて発電量が変化する特性を有する「静電誘導型発電シート」の活用方法を探索した.これまで研究分担者の東工大の土方らが開発した「静電誘導型口腔内発電シート」を改良し,このシートを歯科一般臨床においてマウスガードや,オクルーザルスプリント等にて用いられている樹脂製シートに埋め込み、上下の歯の接触の有無,その咬合接触部位,ならびに同部における咬合力を発電量変化から解析するシステムの構築を試みた. 現時点では,発電シートを埋め込んだオクルーザルスプリントへ,既知の荷重を負荷するベンチテストを実施し,荷重時の出力電圧を測定し,その出力値の妥当性を検証した.この結果,発電シートを用いた測定装置からの出力値の高い精度が示され,口腔内荷重測定装置としての妥当性が検証されている. また,今回の装置におけるセンサノードにおいては,咬合負荷により発生する電流をデジタル信号に変換して無線通信で外部に送信する方式とし,口腔内における安全性を考慮した無線電力供給方式の導入を計画している.このバッテリーレス動作を実現するため,無線通信部の低消費電力化として低電力インパルス無線送信機の利用可能性について検討し,プリント基板に右図のチップとインピーダンスマッチング用素子,コネクタを実装し測定を行い,3kbpsの場合の消費電力は0.34μWと無線による十分な給電の可能性を示した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い,本年度は,オクルーザルスプリントへの発電シートの包埋,既知の荷重を負荷するベンチテストの実施,荷重時の出力電圧測定値の妥当性の検証を行った.この結果,発電シートを用いた測定装置からの出力値の高い精度が示され,目的である咬合力測定装置のセンシングデバイスとしての有用性を示すことができた.しかしながら,ウェアラブル化において重要な無線システムについては,その技術開発に着手し,口腔内使用に耐えうる微弱無線局の規定を満たす結果を得ることができたが,さらなる小型化のために検討が必要なことも見出された.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,機能時における咬合接触の位置の同定,ならびにそれぞれの咬合接触部位にて加わる咬合力の大きさや方向(下顎運動の方向)の測定を可能とするために,発電シートの形状や設置方法についての改良を試みる.また,夜間就寝時,あるいは咀嚼等の機能時の測定を考慮し,長時間計測時における測定精度についても現在検証中である.加えて,発電シートを包埋する樹脂の硬さや厚みの違いによる出力電圧の変化についても調査し,口腔内において快適に使用可能な形状についても検討を予定している. また,無線通信部の低消費電力化として開発済の低電力インパルス無線送信機については,出力インパルスの中心周波数は約700MHz,帯域は約200MHzであり,アンテナを設計したところ数十cm角となっており,口腔内で利用できるようにするためにはアンテナの小型化が必須であり,さらなる検討を予定している.
|
Causes of Carryover |
本年度は発電シートの発電量を最大化のため,誘電エラストマーへの添加剤付加と空気層の調整により比誘電率の向上を試み,さらに金属箔上にエレクトレットおよび誘電エラストマーを成型し,発電量の制御と共に発電シートのフレキシブル化・薄型化を達成したが,達成時期は当初計画より遅れてしまった.これにより,同発電シートをPET樹脂に密閉し,歯列咬合面形態に賦形した状態での出力特性検証が実施できず次年度使用額が生じた. 次年度は研究計画を微調整し,本年度実施分を次年度前期に行うことで当初計画通り研究を進捗させる予定である.
|
Research Products
(2 results)