2021 Fiscal Year Research-status Report
人工乳房装着のための抗菌性ウレタンゲル粘着シートの開発
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21K09978
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
竹内 真帆 広島大学, 病院(歯), 助教 (00397944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 泰彦 広島大学, 医系科学研究科(歯), 准教授 (00253097)
香川 和子 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (60432671)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人工乳房 / 抗菌性 / ウレタンゲル / 塩化セチルピリジニウム(CPC) / モンモリロナイト |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年の厚生労働省人口動態統計に基づく女性のがん死亡数は154,959人であり、このうち乳癌は14,653人で、全がん死亡に占める乳がんの割合は、全体の3.9%、女性の9.5%であった。また、乳がん患者の約半分は乳房の全摘出を余議なくされており、その後のQOL向上が課題とされている。全摘出後に乳房再建手術の選択肢があるが、手術待機期間、術後経過不良、経年的形態変化、ゲル充填材の交換、ゲル充填材による悪性リンパ腫の発症などにより、人工乳房を選択する患者が多い。乳がん患者のQOLを向上させるため、近年、人工乳房は、軽量化や粘着性の向上がなされている。しかしながら、生活の様々な活動様式に合わせてシリコーン接着剤を使用せざるを得ない現状がある。接着剤の使用において、①接着剤を皮膚に残さないために、リムーバー剤を用いて丁寧に除去するという煩雑さ、②皮膚炎を生じる(皮膚保護被膜剤が用意されているものの、接着力を低下させる)、といった問題点が指摘されている。すなわち、接着剤のこれらの問題点を解決する、新しいコンセプトの代替品を開発することが急務である。そこで、本研究の目的は、シリコーン樹脂と皮膚の両者に対して強力な粘着性能を有し、さらに、皮膚炎を予防するために抗菌性を付与したウレタンゲル粘着シートを開発することである。 2021年度は、先ず、ポリウレタンゲル(アスカーC硬度0)に抗菌剤「塩化セチルピリジニウム担持モンモリロナイト(CPC-Mont)」を2,5,10,15 重量%配合した抗菌性ウレタンゲル粘着シートを試作した。4種類の試作品について、CPC徐放特性およびシリコーン樹脂への粘着性能を検証した。CPC徐放特性は、表在性CPC-Montに依存していた。また、粘着性能は、CPC-Mont配合量の増加に従い低下したものの,臨床上必要な粘着性能については更なる検証が必要となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、抗菌性ウレタンゲル粘着シートの試作およびシリコーン樹脂との粘着性能の検証を予定通り遂行できた。したがって、本研究課題の進捗状況は予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、抗菌性能および安全性を検証し、最終仕様を決定する。すなわち、抗菌性能の検証、安全性の検証により、抗菌性ウレタンゲル粘着シートの抗菌性能および安全性の評価を整理し、最終仕様を決定する予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度の進捗状況は予定通りであったが、次年度使用額が若干生じてしまった。2022年度は、次年度使用額を含めて、抗菌性能および安全性を検証し、最終仕様を決定する。すなわち、抗菌性能の検証、安全性の検証により、抗菌性ウレタンゲル粘着シートの抗菌性能および安全性の評価を整理し、最終仕様を決定する予定である。
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