2021 Fiscal Year Research-status Report
創傷治癒促進因子と熱応答性ナノバイオマテリアルを応用した低侵襲な組織再生療法
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21K09984
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
近藤 尚知 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70343150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 太朗 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (00317570)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 注射 / 骨増生 / 低侵襲 / スペースメーキング / 骨形成因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
注射による骨造成を実現するためには、第1に、注入後に材料が硬化し、スペースメイキングを確実に行うことが重要である。そして、注入後に硬化することでスペースメイキングを行い、生体吸収に伴い骨形成因子が徐放され、新生骨に置換する機構が必要であると考える。上記の条件を満たし、且つ新規性のある材料として、体温で温度応答性にゲル化し、生体吸収によって骨形成因子を徐放する、骨造成のための注入型生体材料、これの新規開発を本研究の目的に設定した。 PEG系ポリマーは、親水性を有するポリエチレングリコールと、疎水性を有するポリ乳酸-グリコール酸の共重合体で、37℃付近に達すると親水性のPEG部分が脱水和、続いて疎水性のPLGAが自己集合することで、高分子ミセルを形成し、ゲル化が起こる。この高分子ミセルあるいはハイドロゲル内に物質を複合化することが可能であるため、bFGFを用いた薬剤の複合化を試みた。 PEG系ポリマーを既定の濃度になるように蒸留水へ溶解し、bFGF製剤であるフィブロブラストスプレー液を混和した。その後試料をろ過滅菌し、最終的に1mlあたり0.1gのPEG系ポリマーと0.02mgのbFGFを含む注入型試料を調製した。コントロールは、フィブロブラストスプレーの代わりに蒸留水を加えたものを同様に調製した。 生体吸収性と薬効への影響を確認するために、マウスへの皮下埋入試験を行った。試料を埋入したマウスはその後1週ごとに屠殺し、皮下の材料残存と周囲組織の反応を観察した。 PEG系ポリマー試料は生体内で2週間は残存し、3週目には消失した。bFGF添加試料を埋入し、3週後のマウスにおいて、埋入部に血管新生が確認され、PEG系ポリマー試料は複合化した薬剤の薬効を阻害しないということが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1の課題としている、注射によって体内に材料を注入し、体温で固化する材料のセレクションは、ほぼ完了し、骨形成因子を搭載した場合の骨形成の評価を行っている段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、遺伝子治療を応用した骨形成促進材料の開発に向け、本生体材料を骨欠損部に適用し、評価を行う予定である。 骨形成因子に加え、創傷治癒促進因子の遺伝子配列を抽出し、コンストラクトを作成する。それに続いて、注射によって注入後、体内で固化する材料に搭載し、動物実験によってその効果を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
これまで予備実験的な段階にあったため、精密な動物実験を行うために必要な拡大鏡は、使用しなくてもこなせる状況であった。 今後の動物実験のためには、必要となるため、今年度購入予定で本予算を執行予定である。
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Research Products
(1 results)