2022 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の口腔機能・食欲・体組成に着目した要介護へ至るフレイルサイクルの解明
Project/Area Number |
21K09985
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
佐藤 裕二 昭和大学, 歯学部, 教授 (70187251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑澤 実希 昭和大学, 歯学部, 講師 (10343500)
古屋 純一 昭和大学, 歯学部, 准教授 (10419715)
大澤 淡紅子 (奥山淡紅子) 昭和大学, 歯学部, 助教 (90585788)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 口腔機能低下症 / フレイル / オーラルフレイル |
Outline of Annual Research Achievements |
オーラルフレイルは、高齢者のフレイル・要介護の原因になりうるとされている。口腔機能低下症に対する口腔機能管理は、歯科の外来で診療として実施できるオーラルフレイル対策として非常に重要である。口腔機能低下症は、口腔機能検査における7つの検査項目のうち3項目以上該当で診断されるが、口腔機能管理の効果や管理方法については十分な科学的根拠はない。そこで今年度は、口腔機能低下症と診断された患者を対象とした介入調査を行い、歯科外来での口腔機能管理の効果を調査した。 研究参加者は、口腔機能低下を訴えて口腔機能低下症の検査を受けた患者のうち、約6ヶ月から1年後にも2回目の検査を受けた者68名(平均年齢78.5歳)とした。初回の検査で、検査項目のうち3項目以上該当した者を口腔機能低下症群(低下群)、2項目以下の者を口腔機能低下予備群(予備群)とした。低下群は定期的な口腔機能管理を実施し、予備群は初回検査時に低下していた項目について指導を行い、両群とも約6か月から1年の間に再検査を行った。初回検査で該当した項目数は、低下群で平均3.7、予備群で平均1.5であり、低下群ですべての項目の値が低かった。再検査では、低下群では舌口唇運動機能(/pa/と/ta/)、咀嚼機能が有意に向上し、予備群では口腔不潔と口腔乾燥が有意に悪化した。また、交互作用検定の結果、低下群と予備群では、舌口唇運動機能(/pa/と/ta/)の経時的変化が有意に異なっていた。 以上より、歯科外来における定期的な口腔機能管理は口腔機能低下症を改善することが明らかとなり、オーラルフレイル対策を通じて歯科から始められるフレイル対策としての重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔機能低下症の管理に関する介入研究を実施し、定期的な口腔機能管理が口腔機能低下症を改善することを明らかにできた。栄養面での評価については今後、進めて行く必要があるが、データは採取していることから、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔機能管理の縦断調査を行った際に、統合的機能である咀嚼機能と嚥下機能に関連する要因を詳細に調査することで、より特化した口腔機能管理を行える可能性があるため、まずその解析を行い、その上で食品摂取の多様性や栄養との関連を調査する。また、オーラルフレイルとの関連から、オーラルフレイルチェックリストと口腔機能低下症との関連についても焦点を当てて解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響もあり、研究実施内容に一部変更が生じたため、次年度使用額が生じた。外来と訪問における口腔機能に関する調査を継続し、調査に必要な消耗品・口腔機能測定の機器の購入、成果発表の国内旅費・国外旅費、論文の英文校正・投稿料に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)