2023 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜刺激が減少すると海馬錐体細胞が減少するメカニズムの解明 青斑を介した伝導路
Project/Area Number |
21K10000
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
原 哲也 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60238160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 実穂 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (30868287)
村上 明日香 岡山大学, 歯学部, 博士研究員 (80885426)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 青斑 / 咬合支持 / ノルアドレナリン / 認知機能 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
咬合支持の欠如によって認知機能が低下することはよく知られており,歯根膜刺激の減少が原因と考えられている。しかし,三叉神経から記憶に関わる海馬への直接的な神経伝達経路は明確にされていない。本研究では三叉神経中脳路核に近接する青斑核に注目し,抜歯した実験動物におけるこれらの神経核の変化と認知機能の低下との関連性について評価した。 7週齢のWistar系雄性ラット14匹を7匹ずつの2群に分け,抜歯群は麻酔下で上顎臼歯を抜歯し,対照群には麻酔のみの偽手術を施した。18週齢時から受動的回避実験を開始し,獲得試行では全ラットが明室で300秒間待機するまで行った。再生試行は9日間行い,暗室に入るまでの待機時間を計測し最長待機時間は600秒とした。屠殺後採取した脳組織は-80℃で保存し,脳幹部の青斑核と近接する三叉神経中脳路核の細胞数はそれぞれチロシン水酸化酵素の免疫染色とNissl染色を行って計測した。また大脳は左右に切断し,左半球はNissl染色を行い海馬の錐体細胞数と顆粒細胞数を計測した。右半球の海馬からELISA法を用いてノルアドレナリン(NA)濃度を測定した。統計処理にはMann-Whitney U-testを用いて評価した。 受動的回避実験の再生試行における抜歯群の滞在時間は,対照群に比べて有意に短く認知機能が低下していた。青斑核と三叉神経中脳路核の細胞数ならびに海馬の錐体細胞数と顆粒細胞数は,抜歯群では対照群に比べて有意に少数であった。海馬と大脳皮質でのNA量は抜歯群では対照群よりも有意に少なかった。 以上の結果から,抜歯に伴う咬合支持の欠如によって歯根膜からの刺激が減少して三叉神経中脳路核の細胞数が減少し,近接する青斑核の細胞数も減少することで,大脳皮質や海馬へ投射するNA量の減少に伴い認知機能が低下する可能性が示唆された。
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