2021 Fiscal Year Research-status Report
細胞内エネルギー代謝調節による顎骨骨髄間葉系幹細胞の分化制御機構の解明
Project/Area Number |
21K10005
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
石井 正和 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00456683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 正宏 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (00294570)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 細胞内エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
萎縮した顎骨を増生することは補綴治療の根本的解決法となる。顎骨骨髄中に存在する間葉系幹細胞(MBMSC)は高い骨分化能を有し、顎骨増生療法に有望なセルソースである。MBMSCを用いた顎骨増生治療を成功させるためには、MBMSCの分化制御機構を解明し、移植による骨増生効果を一定に保つことが重要な課題である。本年度は骨分化能の異なるMBMSCを用いて、分化の程度と細胞内エネルギー代謝変化についての関連性について評価をおこなった。本研究では高骨分化および低骨分化MBMSCをそれぞれ3株ずつ用意した。各MBMSCにおいて、MSC特異的細胞正面抗原発現および幹細胞性マーカー遺伝子発現評価をおこなった。また、骨分化誘導に伴う細胞内グルコースの取り込み量、乳酸産生量、NAD+/NADH、ミトコンドリア機能遺伝子発現を評価した。今回用いた6株のMBMSCにおいて細胞表面抗原発現に差はなく、いずれのMBMSCにおいても幹細胞性マーカー遺伝子(Oct-4, SOX2, Nanog)発現が確認された。細胞内グルコース濃度は高骨分化MBMSCにおいては骨分化誘導によってほとんど変化しなかったが、低骨分化MBMSC群において経時的に上昇が確認された。次に、乳酸産生量において、高骨分化および低骨分化MBMSCの両細胞群においても分化誘導により上昇するが、低骨分化群において産生量が高いことが明らかとなった。MSCは分化に伴い解糖系エネルギー代謝から酸化的リン酸化へと変化することが報告されているが、低骨分化MBMSCにおいては骨分化誘導をおこなっても解糖系エネルギー代謝が維持されている可能性が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、高骨分化MBMSCと低骨分化MBMSCにおいて、骨分化誘導に伴う解糖系エネルギー代謝変化の違いを見出すことができた。しかし、もう一つのエネルギー代謝機構である酸化的リン酸化についての評価ができなかった。この点が未達の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
高骨分化MBMSCと低骨分化MBMSCにおいて、骨分化に伴ってエネルギー代謝のシフトがどのように変化していくのかを解明するために、ミトコンドリア機能(ミトコンドリアDNA量、膜電位、NAD+量等)を評価する。また、MBMSCは腸骨骨髄由来MSC(IBMSC)に比べて明らかに脂肪分化能が低いことが明らかとなっているため、脂肪分化に伴う細胞内エネルギー代謝変化についても評価し、MBMSCの分化制御機構における細胞内エネルギー代謝の役割を解明していく。
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Causes of Carryover |
(理由)当初予定していた酸化的リン酸化の評価ができなかったため、使用予定のキット等の購入がなかったため。 (使用予定)細胞培養に関する消耗品一式、細胞内エネルギー代謝変化を評価するキット等の購入によって適切に使用する。
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Research Products
(5 results)