2023 Fiscal Year Annual Research Report
補綴装置製作における口腔内スキャナーを用いた正しい咬合採得方法を探る
Project/Area Number |
21K10025
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
田邉 憲昌 岩手医科大学, 歯学部, 特任教授 (60433497)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光学印象 / 咬合採得 / 口腔内スキャナー / 咬合力 / 筋電計 |
Outline of Annual Research Achievements |
実際の口腔内では,咬合力や咬合パターンなどの因子があり,それらの因子がどの程度咬合採得に影響するかは明らかになっていない.本研究では,歯根膜,顎骨の変形を考慮し,臨床において適切な光学法の咬合採得を得るための咬合力の影響を明らかにすることを目的とした. 健全な天然歯列の被験者40名が採用された.口腔内スキャナーTRIOS 3を用いて,上下顎の右側第一小臼歯から第二大臼歯部にかけてスキャンした.咬合採得のスキャン時に,被験者に「普通」,「軽く」,「強く」を指示し,3パターンの咬合条件のデータを取得した.咬合時のスキャンと同時に右側咬筋部に筋電計を貼付し,各条件での咬合採得時の筋活動量を測定した.3パターンの咬合採得のSTLデータを画像解析ソフトウェアプログラムにて,重ね合わせを行い,上下顎頬側歯頚部ラインを基準にした垂直的距離と歯の変位量を算出した.また,シリコーンゴム印象材を用いた従来法では,歯接触分析装置を用いて,咬合接触面積を算出した. 咬合力は,強い咬合(平均:40%MVC)と通常咬合(平均:17%MVC)ならびに弱い咬合(平均:11%MVC)の間に有意差が認められた(p<0.05).咬合接触面積は,従来法・光学法ともに,咬合力が強くなるにつれて増加し,各咬合条件間に有意差が認められた(P<0.05).垂直的変化量は,咬合が強くなるほど,沈下する傾向が認められ,有意差が認められた(P<0.05).歯の変位は,弱い咬合と比較して強い咬合は有意に小さかった(0.018mm vs. 0.028 mm, P<0.05). 本研究の結果から,シリコーン印象材を用いた従来法,口腔内スキャナーを用いた光学法ともに,咬合力によって咬合接触面積が変化することが明らかとなった.そして,「強い咬合力」の条件下で光学印象を使用すると,偏差が減少し,安定した咬合採得が可能である.
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