2021 Fiscal Year Research-status Report
Novel clinical strategy for fabricating facial prostheses using 3D facial expression model
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21K10032
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
吉岡 文 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (50468998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松川 良平 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (40645735)
尾澤 昌悟 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (50323720)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エピテーゼ / モーフィング |
Outline of Annual Research Achievements |
エピテーゼの製作法は複雑な工程と熟練した技術,芸術的な感性が必要とされてきた.申請者らはこれまで,エピテーゼを製作する上で,患者・術者双方に負担の少ない簡便な方法の確立を目指して研究を進めてきた.さらに適合性の高いエピテーゼの製作を行うために,3Dデジタル技術を応用して‘動く顔面模型’すなわち三次元顔面表情運動モデルの製作方法を構築してきた.本研究においては人工知能を応用して,より精度の高い顔面表情運動モデルを簡便に作成し,さらに皮膚の弾性,シリコーン材料の粘弾性を考慮して,動的な表情モデル上でのエピテーゼの設計方法を構築する.これにより,静止状態のみならず, 運動時にも欠損部に適合したエピテーゼの製作方法を確立することで,顔面の動きに追随する,より自然な装着感のエピテーゼを簡便に製作することができると考えられる.本研究期間においては,研究の趣旨を説明し,同意の得られた,顔面に欠損を有する被験者15名を対象とし,三次元形状計測装置(Artec Eva, Artec3D) にて顔面表面形状を計測し,STLデータ(ポリゴン状のデータ)を得た.計測は複数の表情すなわち,開口,笑顔,無表情の表面形状計測を行った.頬部が皮弁再建されている場合など開口制限のある被験者の場合には最大開口量までとした.得られたSTLデータを相同モデル支援ソフトウェア(HBM-Rugle,メディックエンジニアリング社)を用いて顔面表情運動モデルの作成を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づき、当初の計画通り、研究が進行している。皮膚の弾性を計測するための皮膚粘弾性測定装置(Cutometer,Courage+Khazaka社)を次年度に購入予定であったが、研究計画が順調に進み、また、世界情勢により海外からの備品の納期が遅延する恐れを考慮し、次年度予算を一部前倒し請求し、購入した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の研究計画に従い、顔面表情運動モデル上でエピテーゼを製作する方法を確立する研究に着手する。完成した顔面表情運動モデル上でエピテーゼの設計を行い、模型を得る。エピテーゼの設計時には無表情時および最大表情時(開口/笑顔)を除いた、三時点(30%、50%、70%)の表情を抽出し、それぞれのモデル上でエピテーゼを設計する。得られたエピテーゼの設計データは、ワックスパタンとして、模型データとともに造型される。材料にはモデリングワックスおよび、造型用石膏材料を用いる。 さらに、エピテーゼの適用範囲周囲の皮膚の弾性を皮膚粘弾性測定装置(Cutometer,Courage+Khazaka社)を用いて計測する。また顔面表情運動モデル上で表情変化時の変化量を計測しておく。模型上で5種類の弾性を持つシリコーン材料を用いてそれぞれエピテーゼを製作し、完成したエピテーゼを患者に試適する。本来エピテーゼは専用の皮膚用接着剤を用いて維持されるが、本研究ではエピテーゼの顔面への適合性をより厳密に検査するため、接着剤は用いず、粘着剤を介して顔面に試適する。患者に自由に顔表面の運動を行ってもらい、脱落するまでの時間を計測する(脱落試験)。3分経過しても脱落が見られない場合には適合良好とする。これを各材料で製作したエピテーゼに対しそれぞれ5回ずつ行い、脱落までの時間の平均値を調べる。また、欠損部周囲の表情変化時の変化量および顔面表面の皮膚弾性、エピテーゼ辺縁の厚み、欠損形態との相関関係についても検討し、皮膚弾性やエピテーゼの形状に適したエピテーゼ材料の選択基準を構築する。
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Causes of Carryover |
エピテーゼ製作に伴う材料費や,相同モデル支援ソフトウェアの年間ライセンスに継続して使用予定である。また、研究計画の進行状況に応じて学術大会での研究発表や論文投稿を予定している。
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