2021 Fiscal Year Research-status Report
Multifaceted analysis of natural tooth color gradation using a spectral imaging device
Project/Area Number |
21K10035
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Research Institution | Otemae Junior College |
Principal Investigator |
中村 隆志 大手前短期大学, 歯科衛生学科, 教授 (20198211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 由紀子 大手前短期大学, 歯科衛生学科, 講師 (20847404)
若林 一道 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (50432547)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 分光イメージング / 天然歯 / 色調 / グラデーション / ジルコニア |
Outline of Annual Research Achievements |
天然歯の歯冠全体を計測し、歯頸部から切縁部にかけての段階的な色調変化(グラデーション)を定量的に評価することが可能になれば、審美領域の治療において、色調の忠実な再現に有用となることが予想される。本研究は、非接触で物体の表面色を計測できる分光イメージング装置を用い、試料および天然歯の測色を行い、歯冠のグラデーションを定量的に分析、評価することを目的とした。 令和3年度は、まず分光イメージング装置による色調評価の有効性について評価した。まず、高透光性のマルチレイヤー型ジルコニア(クラレノリタケデンタル)および支台歯色コンポジットレジンを使用した板状試料を作製した。支台歯色試料の上にジルコニア試料を重ね、レジンセメントのトライインペースト(オペーク色およびユニバーサル色、厚さ60μm)を介在させた状態で分光測色計(コニカミノルタ)および分光イメージング装置(オフィスカラーサイエンス)で測色した。その結果、L*値は、両測色計ともに歯頚部から切縁部にかけて有意に大きくなり、またオペーク色を用いた試料は、ユニバーサル色を用いた試料よりも、いずれの部位においても有意に大きかった。a*値およびはb*値は、両測色計ともに歯頚部から切縁部にかけて有意に小さくなった。さらに分光イメージング装置では、歯頚部から切縁部にかけて、170点のデータを取得することができ、L*値、a*値、b*値の変化をグラフで確認することができた。 分光測色計および分光イメージング装置を用い測定した歯頚部、中央部、切縁部各領域間のL*値、a*値、b*値の変化や、トラインペーストの色の違いによるL*値、a*値、b*値の変化は両測色間で近似していた。このことから、両測色計ともに、部位による色調の差や、セメントによる色調の差は測色可能であると考えられた。また、この分光イメージング装置を天然歯にも適応することを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分光イメージング装置は、ハイパースペクトルカメラによる光の分光情報から物質や生体の色調を非接触で評価できる特徴をもつ。この装置を用いれば、歯冠全体を一度に測色ができるだけでなく、歯冠部の連続的な色調変化(グラデーション)を検討できることが期待された。 天然歯に先立ち、歯冠を想定したジルコニアの板状試料を測色したところ、歯頚部から切縁部にかけて連続的な170点のデータが得られた。同じ試料を従来から使用している分光測色計で歯頚部から切縁部にかけて数点を測色した結果と比較するとL*値、a*値、b*値の変化において同様の傾向が得られ、この装置の有効性が確認された。また、背景やセメントの影響においても分光イメージング装置と分光測色計は同様の傾向を示したことから、分光イメージング装置は、歯冠色の測定に適した装置であることが推察された。さらに、実験に対する説明を行い、了承をえた数名の被検者(倫理審査委員会承認済み)の前歯を対象に、分光イメージング装置による計測を試みたところ、ジルコニア試料と同様に測色データを得ることができた。 以上より、本実験は概ね予定通りに進行しているものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定どおり、学生を対象に、分光イメージング装置を用いて、口腔内で上顎中切歯の測色を行う(大阪大学大学院歯学研究科研究倫理委員会承認済み)。背景の影響を検討するため、白色と黒色の背景用マウスガードを製作する。これには、シリコーン印象材で上顎を印象して得られた石膏模型を使用する。 歯頚部から切縁部へのL*、a*、b*値の変化、および透過性TP、コントラスト比CR、分光反射率の変化を評価する。天然歯の結果をジルコニアル試料と比較する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍であり、学会がオンライン開催になったケースが多く、旅費の支出が予定より少なかったため。
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Research Products
(3 results)