2021 Fiscal Year Research-status Report
ドライバー遺伝子変異の監視による口腔潜在的悪性疾患(OPMDs)の新規治療戦略
Project/Area Number |
21K10044
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
内田 大亮 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (20335798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗林 伸行 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (80617332)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | OPMDs |
Outline of Annual Research Achievements |
従来、口腔扁平上皮癌(OSCC)は、口腔白板症や紅板症、口腔扁平苔癬などの口腔潜在的悪性疾患(OPMDs)が生じ、その後、様々なゲノム・エピゲノム異常が段階的に蓄積する「multistep carcinogenesis」により発生するとされてきた。しかしながら、日常臨床で遭遇頻度の高い白板症や扁平苔癬でも数%の発癌に過ぎないため、切除か経過観察かの判断は施設や担当医ごとに異なり、統一された治療指針がない。近年の全遺伝子エキソーム解析にて、頭頸部癌には、限られたドライバー遺伝子の変異が発癌を誘発することが証明された。この結果は、OPMDsの段階でドライバー遺伝子の変異を検出できれば、経過観察の厳重化やOSCCの超早期発見・超早期治療につながる可能性を示唆しているが、OPMDsにおいてドライバー遺伝子のみを包括的にゲノム解析した報告はない。そこで、本研究では、OPMDsにおいてドライバー遺伝子の変異を監視する新規治療戦略を開発することを目的とした。令和3年度は愛媛大学医学部病院臨床研究倫理審査委員会 (IRB) の承認を取得し、舌白板症一例に対するパイロット研究を行った。その結果、病理組織学的には軽度の上皮異形成であったにも関わらず、PIK3CA、FBXW7、NOTCH1の3ドライバー遺伝子において変異が確認された。この結果は、これまでの報告とは異なるものであり、今後の本研究の重要性が示唆された。また、同意取得が得られないケースもあり検体回収に難渋したが、口腔白板症6例、紅板症1例、口腔扁平苔癬13例の検体を回収した。今後、これらの症例について、ゲノム解析を行う予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
独立基盤研究費形成支援により令和3年8月に狭帯域光観察装置を購入できたため、同装置を使用しての生検材料採取を行うことに変更したため、検体採取時期が遅れてしまった。また、ゲノム解析はコスト的に一定数のサンプルを同時に解析する必要があるが、検体数が所定数に達せず、解析を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1検体のみではあるが、パイロット研究にて本研究の発展の可能性が示唆されたため、回収した上述検体の解析を行い、さらに検体数を増やし、解析を継続する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で学会がweb開催となり旅費の使用が少なかったため。
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