2021 Fiscal Year Research-status Report
変形性顎関節症に起因した骨格性下顎後退症患者の新たな治療戦略
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21K10049
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
藤田 紘一 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 講師 (30451909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼見 莉沙 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 特任助教 (90706946)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 関節頭回転中心 / MAC surgery / 骨格性上顎前突 / SLM technique |
Outline of Annual Research Achievements |
3D分析用ソフトウェアの導入が2021年10月となったため、当該年度中は従来型の側面頭部X線規格写真を用いた分析を中心に行った。研究実績は以下に示す通りである。 顎関節頭の変形や吸収に起因した開咬を特徴とする骨格性上顎前突症における顎変形症手術後の後戻りは、顎関節頭への負担過重が関与するとされている。そのような症例に対し、後戻りリスクを低下させうる手術としてMAC surgeryは開発されたものの、その詳細な解析は今まで行われておらず今回研究対象とした。対象症例は、顎関節頭変形を伴う骨格性上顎前突の改善を目的にMAC surgeryを行った10名。上顎骨の位置決め法は全例SLM techniqueを用いた。検討項目として、術前から術後3日および術前から術後3か月の側面頭部X線規格写真の重ね合わせにおいて、任意の2点変化から幾何学的に求められる下顎autorotation center(ARC)の位置および回転量αとした。結果は回転量について術後に増大する傾向が認められた。またARCの変化については関節頭周囲への収束傾向が認められ、これにより咬合と顎運動の安定化が認められた。先行研究ではARCは大きくばらついていたことが報告されており、関節頭周囲から逸脱することで顎関節頭吸収にも悪影響が及ぼされることが懸念されていた。特に側面頭部X線規格写真における関節頭の左下領域にARCが存在すると、関節頭は転覆し術直後から下顎位が後方移動することになる。本研究に用いた正確な上顎位置決め法であるSLM techniqueを中心として上顎骨を位置決めすることにより、ARCが顎関節頭周囲に収束し、また回転角度についても術直後から増加したものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記研究実績の概要に記載の通り、3D分析用ソフトウェアの導入が年度後半となったため研究進捗に半年程度の遅れを生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
3D分析用ソフトウェアはすでに導入済であり、鋭意分析を行っている。上記研究実績の概要に記載の通り、予備実験として行った2次元的な解析結果は、本研究で期待される結果も強力に推進するものと考えられる。2022年度中には学会発表および論文投稿を行うことで、研究を当初計画以上に進捗できるものと考えている。
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Causes of Carryover |
ソフトウェア導入が半年遅れたため、次年度に使用額が繰り越された。2022年度は予定していた動物実験計画の前倒しと合わせ、比較的早期に請求を行っていく予定である。
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