2021 Fiscal Year Research-status Report
放射線性萎縮モデルにおける唾液腺幹細胞再生メカニズムの分子基盤
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21K10067
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
酒井 陽 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (80772425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 純奈 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (00877102)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / 幹細胞 / 細胞外小胞 / 細胞老化 / 唾液腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的:唾液腺機能障害は、シェーグレン症候群、唾液腺腫瘍、放射線療法、頭頸部化学療法などにより生じる。耳下腺や顎下腺に炎症が生じ、腺が収縮する重度の口腔乾燥症では、咀嚼、嚥下、発声、味覚などのプロセスに直接影響を与え、QOLが損なわれることがある。 これらの問題を解決するために、歯髄幹細胞(DPSC)由来の細胞外小胞(EV)の有効性を、細胞の老化に着目して放射線障害唾液腺モデルマウスで検討した。 結果と考察:DPSC-EVは約100nmの粒度分布を示し、CD63、CD9、CD81を発現していた。顎下腺の形態を評価した結果、DPSC-EVs投与により照射マウスの顎下腺の大きさが偽薬群と同程度に回復したことが確認された。さらに、SODアッセイによると、IR-PBS群はIR-DPSC-EVs群より低い値を示した。免疫蛍光染色では、IR-PBS群に対してIR-DPSC-EVs群では老化関連β-ガラクトシダーゼ(SAβgal)およびp-H2AX陽性細胞の割合が低いことが示された。さらに、qRT-PCRにより、老化関連遺伝子p21、p53、p16、およびMmp3、IL-6、MCP-1などの老化関連分泌表現型(SASP)因子がIR-PBS群に比べダウンレギュレートしていることが明らかとなった。これらの結果は、DPSC-EVsが照射によって誘発される唾液腺の炎症性サイトカインを減少させ、唾液上皮細胞の周囲に生成される有益でない高酸素の微小環境を逆転させ、照射による老化を防止することを示すものであった。 この研究成果は、英字論文雑誌「Biochemical and Biophysical Research Communication」に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究前の事前準備や研究計画を十分にしたため順調に進んだと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は幹細胞由来細胞外小胞による細胞老化の予防や老化細胞の新規除去法の開発をすることで社会貢献できればと考えている。
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Causes of Carryover |
使用計画は順調に進んでいたが、コロナの影響で学会等の参加費、旅費の費用が掛からなかったため次年度使用額が生じたと考えられる。学会の現地参加が可能になってきているため、参加費として使用予定である。
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