2021 Fiscal Year Research-status Report
HIF-DEC下流のクリティカル遺伝子を標的としたがん治療分子標的治療法の開発
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21K10073
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
谷本 圭司 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (90335688)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | hypoxia / siRNA / molecular target / gene expression / oral cancer |
Outline of Annual Research Achievements |
がん分子標的薬開発への直結を目指し,がん細胞の生死を指標としたスクリーニングとがん特有の微小環境である低酸素シグナル制御遺伝子の情報を掛け合わせて選ばれた候補遺伝子の有用性を評価し,機能解析により得られた情報から効果や副作用の応答予測開発を行うことを目指して,本研究を開始した。 これまでに,HeLa細胞を用いたRNAシークエンス解析から低酸素環境で重要な働きをしている転写因子HIF-1α,HIF-2α,DEC1およびDEC2の標的遺伝子を同定している。さらに,口腔扁平上皮癌細胞HSC2を用いた同様のRNA-seq解析およびMicroarray解析をするべくtotal RNAサンプルを準備した。 これまでに,ヒトゲノムsiRNAライブラリーからKinase(528 genes),Ubiquitination(202),Oxidoreductase(202),Nuclear hormone receptor(47),Chromatin regulator(154)の計1133遺伝子に対するsiRNAをHSC2細胞に導入し,通常酸素環境下(21% O2)および低酸素環境下(1% O2)の細胞増殖能に与える影響を評価した。強力な増殖抑制または促進効果を示す遺伝子が多数見出されているが,低酸素特異的な作用を示すほとんど見当たらなかった。一方,酸素濃度に依存せず,抗腫瘍効果を示すsiRNAも複数見出されており,in vivoでの効果評価に期待が持たれた。キナーゼ遺伝子の中には,既に分子標的薬が開発中とされているCDK6遺伝子やAURKA遺伝子などが見出されており,実験の妥当性を示していると考えている。 スクリーニング遺伝子の拡大に加えて,バリデーションおよび個々の遺伝子機能の評価などを現在進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトゲノムsiRNAライブラリーを用いたスクリーニングは現在計1133遺伝子まで進んでおり,有望な遺伝子も多数みつかっているため順調である。一方,コロナ禍の輸送制限などによる試薬や解析サンプル輸送などの停滞で,予想以上に時間を要する部分もある。 全体としては順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔扁平上皮癌細胞HSC2を用いたRNA-seq解析およびMicroarray解析のtotal RNAサンプルを準備しており,解析を進める。予定外ではあるが,2種類の網羅的解析を同一サンプルで行うことによる,より詳細で正確な解析を計画している。 また,ヒトゲノムsiRNAライブラリーを用いたスクリーニングは,対象遺伝子の拡大を進めている。 また,これまで見出された,分子標的候補遺伝子に関してのバリデーションおよび機能解析を順次進めているので,今年度中には数遺伝子に関しては結論を得たい。
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Causes of Carryover |
年度内の発注であったが,納品遅れにて年度内の会計処理に間に合わなかった。
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Research Products
(6 results)