2021 Fiscal Year Research-status Report
Wntシグナルによる骨モデリング・リモデリング制御機構の時空間的解析
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21K10085
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
疋田 温彦 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60443397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 雅修 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10392333)
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30344451)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨モデリング / イメージング / Wntシグナル系 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨モデリング過程、骨リモデリング過程において、骨芽細胞での古典的Wntシグナル活性を蛍光で検出するために、TCF/LEF結合配列、蛍光タンパク(mCherry)遺伝子配列、Puromycin耐性遺伝子配列を持つレトロウイルスベクターを作製した。これをパッケージング細胞にトランスフェクションし、上清を回収してレトロウイルス液を調製した。調製したウイルス液を細胞に感染させ、その蛍光タンパク発現を評価した。 EGFP発現マウス由来骨芽細胞を骨芽細胞分化培地で培養し、同一部位を数日ごとに2光子顕微鏡で観察した。骨芽細胞が産生するコラーゲン基質は、第二次高調波発生により無染色で検出した。その結果として、骨基質形成活性が高いと考えられる立方形の骨芽細胞が存在した部位で、その後の基質の添加が起こっていることを視覚的および定量的に示した。これらの立方形の骨芽細胞においては、高い運動性と、細胞膜の局所的な突出と後退を繰り返す現象であるBlebbingが観察できた。 また、基質の増大に伴い、骨芽細胞の形態が徐々に扁平化していくことを、画像解析ソフトを用いて定量的に示した。骨芽細胞が扁平化した状態で、Wntシグナル系を活性化する薬剤であるBIOを添加し、経時的な観察を行ったところ、扁平な骨芽細胞が再び立方形へと変化し、激しく移動することを確認した。さらに、BIO投与によるWntシグナル系再活性化により、対照群と比較して基質の形成が増大することを定量的に示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Wntシグナル活性を検出する蛍光プローブを作製しており、またWntシグナル活性を再活性化することで骨芽細胞の形態と機能の変化、基質の変化を確認できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
骨リモデリングにおけるWntシグナル活性変化の検討:作製したプローブを導入したEGFP発現マウス由来骨芽細胞を4週間分化培養した後、破骨細胞特異的に赤色蛍光タンパクtdTomatoを発現するマウス(Ctsk-Cre x ROSA26-tdTomato、あるいはRANK-Cre x ROSA26-tdTomato)から採取した骨髄マクロファージを添加し、活性型vitamin D、prostaglandin E2含有共培養培地で培養する。3週間後に再び骨芽細胞分化培地に戻す。同一部位を1週間ごとに2光子顕微鏡で観察し、破骨細胞による基質吸収、骨芽細胞による基質再充填の過程における各時点の骨芽細胞について、Wntシグナル活性の変化を解析する。 骨リモデリングにおける、薬剤添加の影響の検討:上記で得た所見を参考に、sclerostin投与によるWntシグナル抑制が、基質吸収窩における骨芽細胞の扁平からcuboidalへの形態変化に与える影響を観察する。また、基質再充填は特に吸収窩で顕著に生じるが、BIO、塩酸リチウムやsclerostin中和抗体の添加によるWntシグナル活性促進がこれに及ぼす変化を検討する。さらに、PTH間欠投与、sclerostin中和抗体投与などの影響についても解析する。
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Causes of Carryover |
蛍光プローブの作製、評価に予想したほどの費用を要さなかったため。次年度以降の培養試薬や添加薬剤などの購入費用として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)