2022 Fiscal Year Research-status Report
Wntシグナルによる骨モデリング・リモデリング制御機構の時空間的解析
Project/Area Number |
21K10085
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
疋田 温彦 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (60443397)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 雅修 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10392333)
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30344451)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 骨モデリング / 骨リモデリング / In vivo系 / Wntシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
Wntシグナル活性化物質であるBIOや、骨粗鬆症治療に一般的に用いられるビスフォスフォネートの一種であるゾレドロネート、カテプシン阻害剤であるE64など様々な薬剤が骨恒常性に与える影響を検討するために、骨モデリング、リモデリングをin vitroで再現した実験系を用いて検討した。 位置情報を含めた解析を可能とするために、解析法の改良を行った。Region of Interest (ROI)を16分割して、それぞれの領域における基質、骨芽細胞、破骨細胞パラメーターを定量化し、それぞれの間の相関について解析した。その結果、骨吸収と骨形成の両者が見られた領域においては、吸収量と形成量の間に中等度の相関がみられた。すなわち、吸収と形成は量的および空間的に関連していることが示された。また、破骨細胞パラメーターと基質吸収量、骨芽細胞パラメーターと基質吸収量に相関がみられた。しかし、骨芽細胞パラメーターと基質形成量あるいは破骨細胞パラメータとの相関がみられず、解析法のさらなる改良が必要と考えられた。 投与した薬剤のうち、ビスフォスフォネートの一種であるゾレドロネートについては、投与した際に吸収と形成の両者が抑制されたが、それらの量的・空間的相関は保たれていた。一方、カテプシン阻害剤であるE64を投与したところ、この相関がみられなくなったことから、カテプシン阻害はカップリングを乱すことが示唆された。しかし、カテプシン阻害においては、吸収期のうちに吸収窩が速やかに埋まる像が散見され、吸収期および形成期全体を通じた変化量の比較ではこの現象をとらえられていない可能性が考えられたため、この現象をとらえることが可能な解析法の検討に着手した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、2年目に骨モデリングにおける薬剤投与の影響の検討、3年目に骨リモデリングにおける薬剤投与の検討を行う予定であったが、前者は1年目に、後者は2年目に開始できており、順調に進んでいると考えられるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、骨リモデリングにおける薬剤添加の影響を検討する。BIO、塩酸リチウムやsclerostin中和抗体の添加によるWntシグナル活性促進や、Sclerostin添加によるWntシグナル活性抑制により、in vitro再現系における骨リモデリングの各時期(吸収期、形成期)に及ぼす変化を検討する。 また、骨芽細胞パラメータが基質吸収や破骨細胞のパラメータと相関がみられなかったこと、カテプシン阻害において吸収期のうちに吸収窩が速やかに埋まる現象をとらえられていないことについて、これらを改善できるような解析法について検討する。
|
Causes of Carryover |
細胞採取、培養に要する費用が若干予想を下回ったため。次年度以降の培養試薬や添加薬剤などの購入費用として使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)