2023 Fiscal Year Annual Research Report
幹/前駆細胞のシーケンシャルな体内移動を基軸とした新しい骨再生治療の開発
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21K10090
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤尾 正人 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90612804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比 英晴 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (90345885)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨再生 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス脛骨骨延長モデルの解析で、骨格前駆細胞(Skeletal Progenitor Cell; SPC)の動態解析を行なった。週齢数の少ないマウスにおいてNestin陽性SPCが軟骨成長板などの骨成長部位あるいは、骨治癒部に多く観察された。しかし、成体マウスではSPCの数が減っていくことが明らかになった。また、骨延長モデルから採取したサンプルを用いた遺伝子発現解析(real time PCR)において、組織再生を活性化させる因子として注目されているHigh Mobility Group Box Protein 1(HMGB1)の発現パターンを解析した。骨折、区域欠損のみならず、骨延長治癒過程においても、骨切りの4時間後に血清中HMGB1タンパクは発現のピークをむかえ、すみやかにベースラインに戻っていくことが明らかになった。骨治癒過程中にHMGB1を局所投与することにより、骨形成が促進されることが放射線学的解析(μCT)や組織学的解析(HE染色)で明らかになった。免疫染色では、VEGFレセプター/CD34陽性の血管内皮前駆細胞、PDGFR-α/Sca-1陽性の間葉系幹細胞が投与部位に集積し、血管再生、骨再生に寄与していることが明らかになった。in vitroの実験系においても、血管内皮細胞、間葉系幹細胞に働きかけ、血管再生、骨再生に寄与することが示された。本研究の結果から、HMGB-1は生体内の幹/前駆細胞を利用する新たな再生治療薬の候補となる可能性が示された。
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