2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K10093
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
皆木 瞳 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特別研究員(RPD) (70754810)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 唾液腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液腺の発生は口腔粘膜上皮が肥厚し問葉組織へ索状に侵入することによって始まり、分枝形成、導管形成、終末部での細胞分化を経て形成される。唾液腺の発達過程におけるシグナルや器官形成過程は数多く報告されているものの、発生機序は未知の点が多い。一概に唾液腺といっても耳下腺、顎下腺、舌下腺、小唾液腺など異なった働きを持ち、構造も細胞レベルから全く違う性質を持つことからそれぞれが異なった遺伝子に基づいた発生機序をとると考えられる。そこで申請者は本研究で、唾液腺の本当の起源を明らかにするという学術的「問い」に挑戦したいと考えている。そこで本研究では各唾液腺の違いにフォーカスを当て、唾液腺発生の過程を解明する。さらに粘液腺と漿液腺の分化スイッチをオンする遺伝子を見出すことで唾液腺組織を誘導まで展開する。まず本年度は唾液腺が発生中の胚のどの細胞に由来するかを探索した。TRiCK(TRiple Coloured germ layer Knock-in)マウスはSox1、Brachyury, Sox17にそれぞれ異なる蛍光がついたマウスで、慶応大学で作成された(Serizawa et al, Development, 2019)。TRiCKマウスを継時的にサンプリングし、初期発生における細胞系譜を解析を行っている。連携研究者である慶応大学の岡野先生から譲渡をうけ、成体唾液腺におけるTRiCKマウスの組織解析を進めているところである。胎生期も含め順次サンプル数を増やしてより詳細な解析を行っている。 さらに唾液腺は分泌される唾液や組織学的な違いから粘液腺と漿液腺に分類される。胎生期マウスが粘液腺と漿液腺に分化するタイミングに必須となる遺伝子を網羅的な解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞の運命は胚発生初期にまず外胚葉、内胚葉、中胚葉に分かれ、その後それぞれ、神経系や内臓、骨などに順次分化して行く。通常、これらの胚葉を超えて組織を分化させることは難しいため、細胞の系譜情報は非常に重要である。教科書や多くの文献では、耳下腺は外胚葉由来、顎下腺・舌下腺は内胚葉由来であると考えられてきた。しかしながら近年その由来には疑問が呈されている。現在、唾液腺が発生中の胚のどの細胞に由来するかを探索している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は第一に唾液腺の発生過程から遡り、三胚葉における由来を明らかにするところが重要であると考えている。今後は臓器ごとの違いに注目し、顎下腺・舌下腺、耳下腺の違いを明らかにすることで、唾液腺の初期発生機構を解明することで機能的唾液腺への誘導を行うという計画を実施している。
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Causes of Carryover |
研究遂行上Trickマウスの繁殖がうまくいかず、胎生期の胚葉由来の解析実験予定計画が次年度に実施することとなったため、その費用に充当する予定である。
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