2021 Fiscal Year Research-status Report
甘草由来フィトケミカルによる気管支調節機構の分子機序解明
Project/Area Number |
21K10108
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
脇田 亮 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (60376712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船山 ひろみ 鶴見大学, 歯学部, 講師 (00359530)
生駒 俊之 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (20370306)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 気管支平滑筋 / フィトケミカル / 甘草 / カルシウムチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
気管支狭窄の機序の一つとして、気管支平滑筋細胞内でのカルシウイオンやcAMPを介した調節機構に注目している。また、その調節に影響を及ぼすものとして漢方生薬由来物質に注目し、気管支平滑筋調節機構の解明を目指してきた。そのなかで甘草由来フィトケミカルを用い、気管支収縮の直接的調節機構、気管上皮由来のメッセンジャーを介した間接的な平滑筋調節機構、ならびに気管上皮の安定化作用の解明を目指している。 先行研究で、苦参配合漢方生薬合剤抽出物にはmyosin light chain(MLC)のリン酸化抑制すなわち平滑筋収縮抑制効果がみられた。そこでこれらの作用経路を検討するため、PKCを介する収縮系とPKAを介する抑制系の細胞内情報伝達経路を検討することとし、それぞれCPI-17とHSP-20のリン酸化を指標とした。現時点でglycyrrhizic acidは培養気管支平滑筋細胞においてcAMPシグナル伝達経路であるPKAを介した経路を活性化しないようであり、PKCを介した収縮系との関連を検討中である。一方、フィトケミカルのPLCβ単体に対する影響を測定し、有意かは未だ明らかではないが活性の抑制作用が認められた。現在glycyrrhizic acidおよび誘導体を用いてさらなる検討を進めている。また筋小胞体は細胞内カルシウムイオン(Ca2+)濃度調節に重要な役割を果たしている。筋小胞体内Ca2+濃度変化を観察するため、細胞膜透過処理後の平滑筋細胞にフィトケミカルの前処置後、蛍光プローブを導入し、ヒスタミン刺激による細胞内Ca2+濃度変化を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
筋収縮発現に影響する細胞内カルシウムイオン測定が可能な蛍光プローブの反応性の確認は海外の研究協力者の所属する研究班より提供された情報と差異があったが、綿密な情報交換により時間はかかったものの終了している。しかし細胞膜透過処理とその後のプローブ導入あるいは細胞内カルシウムイオン濃度測定が安定しておらず、研究が遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
cAMPを介したPKA産生による気管支収縮抑制作用においては、他のLiquiritigenin,glycyrrhetinic acidなどの甘草由来フィトケミカルを用いアデニル酸シクラーゼ阻害剤およびPDE4阻害に対する影響を再度検証する。一方甘草由来フィトケミカルによるPLA2を抑制し、これを介する炎症性メディエータを抑制する経路の検証のため、PLA2を介した平滑筋調節系の影響を阻害剤により確認する。
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Causes of Carryover |
COVID-19パンデミックによる、動物実験室使用中断要請やその後の研究室利用制限により、計画通りに研究が遂行できず、必要な実験器材・試薬の購入が減少した。また渡航・出張制限もあり、学会等情報収集や研究打合せなどの出張も行われなかった。これらの理由により次年度使用が生じた。徐々に研究再開する部分も現れ、当初計画より遅延した分野においては、測定対象を絞り込むとともに、研究協力者の施設にある機材設備での同時並行処理を検討し、当該施設での使用料、ディスポ製品や各種試薬の購入などに使用する予定である。
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