2021 Fiscal Year Research-status Report
薬剤関連顎骨壊死の発症メカニズムの解明と新規予防法/治療法の開発
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21K10120
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
柳生 貴裕 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00555550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今田 光彦 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (10834054)
桐田 忠昭 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70201465)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 薬剤関連顎骨壊死 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の計画は、薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)の動物モデルの作製方法確立することであった。まずは大型動物のMRONJ発症モデルから作製方法を探索した。ミニ豚、ビーグル犬、羊などを用い多数の作製方法が報告されていたが、大半のモデルの顎骨壊死は”組織学的”であり、”臨床的(肉眼的)”顎骨壊死の動物モデルの作製に関する報告は極めて少ないことが判明した。文献渉猟の結果、肉眼的顎骨壊死の発症率が100%と報告されているOttoら(2017)の方法を採用することとした。作製方法はミニ豚を用い、ゾレドロン酸0.05mg/kgの静注(1回/週)を12週間行う。その後、全身麻酔下に上下顎の小臼歯を抜歯する。抜歯後もゾレドロン酸0.05mg/kgの静注(1回/週)を8週間継続するというものであった。文献に従いモデルの作製を試みようとしたが、報告通りにモデルを作製することは出来なかった。そのため、ラットMRONJ発症モデル用いた検討に研究計画を一部変更した。ラットMRONJ発症モデルはラットにゾレドロン酸60μg/kgの静注を2週間行い、下顎臼歯を抜歯することで作製できる。本モデルを用いてbFGF含浸ハイドロキシプロピルセルロースのMRONJ発症予防効果を明らかにすることにした。まず、本モデルでは何も介入しなければ臨床的(肉眼的)顎骨壊死が生じることを確認し、実験群では骨欠損部にbFGF含浸ハイドロキシプロピルセルロースを充填し完全閉創、コントロール群ではハイドロキシプロピルセルロースのみを充填し完全閉創した、限定的なN数ではあるものの、実験群では肉眼的骨壊死の発症がみられていない。今後ラットを安楽死後にCT、組織学的に詳細な検討を行い、それぞれの群のMRONJ発症頻度を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミニ豚を用いたMRONJ発症モデルの作製方法を確立することはできなかったため、ラットMRONJ発症モデルを用いてbFGF含浸ハイドロキシプロピルセルロースのMRONJ予防効果を検証することとした。限られた検討数ではあるものの、bFGF含浸ハイドロキシプロピルセルロースの有用性を示すデータを得ることができた。当初の計画とは一部異なってはいるが、研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験のN数を増やし、bFGF含浸ハイドロキシプロピルセルロースによるMRONJ発症抑制効果を検証する。更にMRONJ発症メカニズムについても分子生物学的アプローチにより解析を進める。
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Causes of Carryover |
当初の予定通りに研究が進まなかったため、一部研究計画を見直した。そのため、次年度使用額が生じた。今後は変更した研究計画に沿って動物実験を行い適正に予算を執行する予定である。
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