2023 Fiscal Year Research-status Report
The functional role of macrophage on the vascular permeability
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21K10122
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
飯島 毅彦 昭和大学, 歯学部, 客員教授 (10193129)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | glycocalyx / permeability / endothelial surface / fluid therapy / crystalloid |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、2つの研究計画を推進した。gycocalyxの崩壊は間質への水分の貯留を引き起こし、肺水腫に代表される重篤な病態にいたる。このglycocalyxの崩壊にmacrophageは関与していることが示されてきた。本研究ではmiceの抗白血球抗体を用いたモデルを用いてmacrophageによるglycocalyxの崩壊について検討した。抗白血球抗体は白血球を活性化し、肺へ集積させ、macrophageの肺血管から間質への移動も引き起こす。このモデルを用いてmacrophageをclodronateにより薬理学的に除去するとglycocalyx層の崩壊が抑制され、肺水腫の形成が抑制された。また、heparin sulfateの投与により浮腫の形成はさらに抑制されることが示された。以上の結果より肺血管内皮障害にmacrophageの重要な役割が示された。また、hepatin sulfateによりこの病態機序に介入することができることも示された。 一方、方法論としては血管内皮を覆うglycocalyx層の病理標本から観察する方法論を検討した。特に肺標本を観察する場合は血管から灌流固定液を流し込んで血管内容物を流すとともに内皮の構造を固定する。しかし、この方法はヒトの病理標本には応用できない。本研究では浸漬固定された標本でAlucian blueを用いて血管内皮構造を観察する方法を開発した。この方法では灌流の必要がないためにすでに浸漬固定した標本でのglycocalyxの観察が可能となった。また、標本作成期間も6日から2日に短縮された。glycocalyxのhegative controlとしては敗血症マウスを用いた。この方法で得られた透過型および走査型電子顕微鏡像をこれまでlanthanumの灌流固定標本の画像と比較したところ、同程度の解像度が得られることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定通りの進捗であり、現在、論文作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発された浸漬標本を用いたglycocalyx観察のための電子顕微鏡画像調製法は広く、病理標本にも応用される。実際の患者標本でglycocalyxを観察することにより、さまざまな病態の成立にglycocalyxがいかに関与しているかを明らかにすることができる。今後は臨床での応用が可能になると研究領域は拡大することが期待される。また、macrophageの血管内皮障害のメカニズムに関与していることが示されたことにより、血管内皮障害の病態解明が進展することが期待される。その治療法開発に関してはheparin sulfateが効果があることが示されたことにより病態進展への介入方法も今後進呈されることが期待される。
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Causes of Carryover |
これまでの研究結果の発表を行うために次年度使用額が生じた。今後発表を進める予定である。
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Research Products
(2 results)