2021 Fiscal Year Research-status Report
Studies on the involvement of brain adrenergic receptors in oral dyskinesia
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21K10124
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
青野 悠里 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (50508497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三枝 禎 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (50277456)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳微小透析法 / 側坐核 / ラット / GABA |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画では,口腔ジスキネジアの特徴である常同性の生物学的基盤のひとつとして申請者らが注目する中脳辺縁系dopamine (DA)神経の投射する側坐核のacetylcholine (ACh)神経活動の制御機構に関する基礎研究を行う。口腔ジスキネジアを起こす危険のある薬物に強いNA取込み阻害作用を示す抗うつ薬が含まれているため, 内因性のNAの増大がadrenaline受容体subtypeの刺激を介して側坐核の基礎的なACh神経活動にどのような影響を及ぼすかについて解析する。この側坐核のACh神経の基礎的な活動は同部位のGABA神経により抑制されている(Aono et al., 2018)。側坐核には,細胞外GABAの細胞内への取り込みに関わるGABAトランスポーターのGAT-1,GAT-2およびGAT-3が発現している。当該年度はこれらのGABA輸送機構が側坐核の基礎的な細胞外GABA量の制御で果たす役割について,各トランスポーターの選択的な阻害薬が細胞外液中のGABA量へ及ぼす効果を指標として無麻酔非拘束ラットを用いたin vivo脳微小透析法により解析した。S-D系雄性ラット(約250 g)の側坐核に留置した微小透析膜(直径220 μm, 長さ2 mm)に改良リンゲル液を2 μl/分で灌流し20分毎に試料として回収した細胞外液に含まれるGABAをHPLC法で分離して蛍光検出器で定量した。GAT阻害薬は逆透析により側坐核へ灌流投与し,各処置がGABA量に及ぼす効果は4時間にわたり観察した。その結果,ラットの側坐核の細胞外GABA量は,GAT-1阻害薬のNNC-711により顕著に増加したが,GAT-2とGAT-3の阻害薬の(S)-SNAP 5114による影響は認められなかった。このことから側坐核では,基礎的な細胞外GABA量の制御にはGAT-1が関与することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本計画では, 申請者らが注目している中脳辺縁系DA神経の投射する側坐核に分布しているACh神経に焦点を当てる。当該年度は,この神経を抑制するGABA神経が放出したGABAを含む細胞外GABA量の制御におけるGABAトランスポーターの役割を解析し,その成果を2021年6月にオンライン開催された第144回日本薬理学会関東部会で発表できた。現在,GABA神経活動が亢進した際に側坐核のGAT-1および-3が細胞外GABA量の調節で果たす役割について検討するとともに,ACh神経活動の制御においてadrenaline受容体subtypeが果たす役割の検討の準備が整っている。このため,計画の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
本計画では主に側坐核のACh神経活動に焦点を当てているが, この神経は同部位のGABA神経により抑制的に制御されている(Aono et al., 2019)。当該年度は, 基礎的な側坐核の細胞外GABA量の制御におけるGABAトランスポーターの役割について解析した。現在,GABA神経活動が亢進した際に側坐核のGAT-1, -2, -3が細胞外GABA量の調節で果たす役割について検討を行なうとともに,ACh神経活動の制御においてadrenaline受容体subtypeが果たす役割の解析の準備を整えている。 【役割分担】統括,神経化学・行動学・組織学実験の遂行:青野悠里(研究代表者),実験の遂行;川島央暉(研究協力者),齊藤幸治(研究協力者),研究の助言:三枝 禎(研究分担者),J. L. Waddington(海外研究協力者)
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Causes of Carryover |
実験で使用した試薬が予定より安価であったため,7425円を使用せずに残した。 次年度へ繰り越す7425円と次年度経費のうち105万円を実験のための物品費として使用することを計画している。主たる使途は,実験動物,試薬,HPLC消耗品の購入である。このほかに5万円を学会参加費に充てる予定である。この学会参加費は,本年度の12月に横浜市で行われる日本薬理学会年会における研究成果の発表のために主に用いる。
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Research Products
(2 results)