2021 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺細胞のCdc42依存性恒常性維持機構に着目した、新規放射線防御機構の解明
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21K10126
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
設楽 彰子 朝日大学, 歯学部, 准教授 (30508718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 慶太郎 明海大学, 歯学部, 准教授 (10549041)
落合 隆永 朝日大学, 歯学部, 准教授 (20410417)
大野 雄太 朝日大学, 歯学部, 講師 (30796644)
長瀬 春奈 朝日大学, 歯学部, 助教 (40888799)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 唾液腺 / 放射線 / Cdc42 / 放射線性唾液腺障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はまず腺房細胞における急性障害の発生にCdc42依存性の細胞の恒常性維持機構の破綻が関与することを示すため、RNAシークエンスにより健常および放射線照射したマウス顎下腺の遺伝子を網羅的に調べた既報の結果を解析した。しかし、72の発現変動遺伝子 (DEGs)の中にCdc42を含むRhoGTPaseおよびCdc42のエフェクター遺伝子はなかった。 そこで次に我々はDEGsに対してエンリッチメント解析を行った。その結果Cdc42が関連するアクチン細胞骨格の重合・脱重合および細胞内輸送に関連する遺伝子が多く変動していることが明らかになった。その結果、72のDEGs中8つの遺伝子が減少し、2つの遺伝子が増加することが明らかになった。 さらなる文献検索の結果、放射線照射により発現が減少したSpata13、Arl4aはいずれもCdc42を活性化することが知られている。このことから、放射線照射はこれらの分子を減少させることにより、Cdc42の機能を抑制する可能性が示唆された。 次に我々はCdc42シグナルとアポトーシス・オートファジーシグナルの関連を明らかにするため、同様の手法でアポトーシス・オートファジーに関与する遺伝子の発現変動を調べた。その結果72のDEGs中5つの遺伝子発現が変動することが明らかになった。さらに興味深いことにPI3K経路を活性化し、細胞保護機能を促進するRgl2の発現が放射線照射により有意に減少することが明らかになった。PI3K経路とCdc42経路は間接的な協力型ポジティブフィードバックによって互いを活性化する (Mol Cell. 2012)。よって放射線照射はRgl2の減少を介してCdc42経路を抑制する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
科研費採択後の半年間、育児休暇のため代理の研究員に委託することで研究を行なっていた。そのため実験の進展に遅れが生じてしまった。また新型コロナウイルスの蔓延に伴い、予定していた共同研究機関における実験を行うことが困難になったことから一部の実験に遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回のバイオインフォマティクス解析結果をもとに、リアルタイムPCRを行い結果を確認する。また最近申請者らのグループはCdc42ノックアウトマウスの顎下腺のRNAシークエンス解析を行ない、現在解析中である。その結果と今回の解析結果を比較することにより、Cdc42による細胞保護の仕組みを明らかにする。
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Causes of Carryover |
購入予定であった装置が予算不足のため購入することができなくなった。翌年度は共同研究先で予定していた実験を行うとともに、研究補助員を雇用を継続し研究を推進する計画である。
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Research Products
(2 results)