2023 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ照射液を用いた治療抵抗性口腔癌の革新的治療法の創出
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21K10128
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Research Institution | Plasma ChemiBio Laboratory |
Principal Investigator |
鈴木 真奈美 一般社団法人プラズマ化学生物学研究所, 研究部, 研究員 (10842883)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 活性酸素 / ミトコンドリア / 抗腫瘍活性 / オゾン / 扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究成果からAPAMの口腔癌に対する抗腫瘍作用にはMPMCが関与し、H 2 O 2 を介したミトコンドリア酸化ストレスがMPMCを惹起することが明らかにされた。 APAM中にはH 2 O 2 の他に窒素酸化物NO 2 - やNO 3 - が含まれる。これらの酸化物は一酸化窒素(NO)から生成されるので、この事実はNOが細胞内に産生されることを意味する。NOは親油性フリーラジカルで、その産生源や時空間濃度によって細胞死を促進、抑制することが知られている。実際に、NOの低温大気圧プラズマの抗腫瘍作用における関与についてはいくつかの報告がある。 しかし、その詳細は明らかになっていない。そこで、APAMの作用におけるNOの役割を調べた。まず、APAMのNO動態に対する作用を検討したところ、APAMは細胞内NOレベルを増加させ、カルシウム依存性NO合成酵素(NOS)が関与することがわかった。タイムラプス解析から、NO増加がMPMCと並行することを見出した。NOの選択的な消去はH 2 O 2 の消去と同様に、MPMCに関与するミトコンドリア酸化ストレス、ミトコンドリア輸送に必要な微小管リモデリング、および抗腫瘍効果を抑制した。逆に、合成NO供与剤で細胞内NOを増加させるとこれらのイベントと抗腫瘍効果は増強された。これに対して、非腫瘍細胞ではNO、MPMCの誘発、細胞死はほとんど見られなかった。さらに、サリノマイシンが同様なNO依存性メカニズムで抗腫瘍効果を発揮すること、APAMとサリノマイシンが相乗的に作用し、NOを介するMPMC誘発がその重要なメカニズムであることを見出した。これらの成果は、薬剤耐性口腔癌の制御におけるAPAMとサリノマイシンの併用が有望な方策になること、またMPMCがNO駆動性の抗がん剤の標的となることを示す。
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