2021 Fiscal Year Research-status Report
機能的スクリーニングから独自に選出した新規microRNAによる口腔癌治療の開発
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21K10140
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
上杉 篤史 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (20637061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗尾 奈愛 徳島大学, 病院, 講師 (80622141)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | microRNA / 口腔癌 / 網羅的スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新たな癌治療法として癌抑制遺伝子型microRNA replacement therapyの確立を目標としている。合成二本鎖microRNA(ds-miRNA)ライブラリーを口腔癌細胞株に遺伝子導入することで機能的スクリーニングを施行する。選出した候補microRNAに対し、その本来の発現状態を調べ、分子機序の総合的解析を行う。 分化を誘導した正常粘膜由来不死化細胞RT7および口腔癌細胞株NA、SAS、SKN3に対し、327種類の合成ds-miRNAが搭載されているライブラリー(Ambion社)を使用し、各細胞株に網羅的に遺伝子導入を行い、各細胞株におけるin vitroでの細胞増殖状能をMTT法で数値化した。 分化を誘導した正常粘膜由来不死化細胞RT7では細胞増殖抑制活性がなく(cut off値≧0.70)、かつ口腔癌細胞株NA、SAS、SKN3では細胞増殖抑制活性がある(cut off値<0.50)条件で絞り込みを行ったところ20種類のmicroRNAが選出された。さらに口腔癌において新規性のあるmicroRNAに注目し、Pub Medを使用し文献的な検索を行ったところ、8種類のmicroRNAが選出された。 分化を誘導した正常粘膜由来不死化細胞RT7および口腔癌細胞株からRNAを抽出し、選出されたmicroRNAの発現解析を行ったところ、RNAレベルで癌細胞において特異的に発現が低下している2種類のmicroRNA-XとmicroRNA-Y (laboratory name)が選出された。これらのmicroRNAを、各細胞株へLipofectamine RNAiMAX (Invitrogen社)を用いて遺伝子導入後、in vitro細胞増殖状態をMTT法で数値化し評価したところ、口腔癌細胞株NA、SAS、SKN3以外の細胞株でも強い細胞増殖抑制活性を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、microRNAを用いた口腔癌治療の開発を目的に、microRNAの細胞増殖抑制活性機能に注目した網羅的スクリーニングを行い、口腔癌の細胞増殖を抑制するmicroRNAを候補として選出する。そしてこれらが口腔癌の細胞増殖活性に与える影響を解析し、臨床応用を目指す。 分化を誘導した正常粘膜由来不死化細胞RT7および口腔癌細胞株を用いてRNAレベルで癌細胞において特異的に発現が低下している2種類のmicroRNA-XとmicroRNA-Y (laboratory name)を選出した。おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
選出したmicroRNAの細胞増殖抑制活性における分子機序の総合的解析を行う。選出した癌抑制遺伝子型microRNAに対する標的分子に関しては、microRNAの標的遺伝子は複数存在するため、標的遺伝子を予測するTargetScanなどのWebサイトの情報を利用して絞り込み、最終的に標的遺伝子の同定をルシフェラーゼアッセイにて行う。また、同定した標的分子についても、発現解析やDNAメチル化解析、in vitro機能解析などを組み合わせた統合的解析を行い、癌細胞増殖抑制に関与する分子機序を詳細に解明する。
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Causes of Carryover |
本年度の研究に必要なin vitro細胞増殖状態の解析が予定よりも少額で賄えたため、次年度使用額が生じた。次年度は選出したmicroRNAの標的遺伝子の同定のため、Taqmanプローブが多く必要になることが予想されるため、次年度研究費と合わせて使用する計画である。
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