2022 Fiscal Year Research-status Report
抗腫瘍性ケモカインCXCL14C末端ドメインを応用した次世代の癌転移阻害剤の開発
Project/Area Number |
21K10149
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
小澤 重幸 神奈川歯科大学, 歯学部, 特任准教授 (40434394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 隆一郎 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 特任教授 (10014276)
安部 貴大 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (20383250)
讃岐 拓郎 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (40533881)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CXCL14 / 頭頸部扁平上皮癌 / 転移抑制 / 新規薬剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性腫瘍の遠隔臓器への転移先は、発生臓器によってある程度決定している。Seed and soil theoryに基づき、頭頸部癌の多くは肺転移を生じる。頭頸部癌、乳癌、メラノーマなど、多くの悪性腫瘍細胞はケモカイン受容体であるCXCR4を、転移先臓器ではそのリガンドであるSDF-1を高発現しており、これら2つの分子の結合によって遠隔臓器へ転移が成立する。悪性腫瘍担癌患者の死因のほとんどは転移による制御不能によるものである。よって、がんによる死亡率を減少させるためにも、転移を制御することが切望されている。しかしながら現在、多くの癌研究者によって転移阻害剤の開発が行われているが、決定的なものはいまだ存在しない。申請者らは、炎症性サイトカインCXCL14が、がん細胞の造腫瘍性のみならず、多臓器への転移を抑制する結果を、CXCL14トランスジェニックマウスを使用して証明した。申請者らは本データに基づき、CXCL14に着目した新規転移阻害剤の開発を遂行している。R4年度は、CXCL14の転移抑制メカニズムを解明するため時間を費やした。近年、すべてのがん細胞が転移するわけではなく、がん細胞群のなかにわずかに存在するがん幹細胞が、がんの転移に関与する明らかとなっている。R4年度は、CXCL14を頭頸部扁平上皮癌細胞株に遺伝子導入すると、CXCL14が癌細胞の分化レベルを変化させ、転移能を有するがん幹細胞をCXCXL14が、転移しにくい通常の高分化型がん細胞に分化誘導することを各上皮分化マーカーや幹細胞マーカーを使用し証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
R4年度は、研究室が所有する発現ベクターを改変し、CXCL14にHisタグを付着したリコンビナントCXCL14を大量生成(受託サービス利用)する予定であった。しかしながら、遺伝子導入した細胞が分化誘導し様相が変化する結果を得たことから、まずは分化誘導するメカニズムについて詳細に検討することとなった。具体的にはCXCL14を強制発現させたがん細胞 (発現ベクター導入細胞より作成) および著しく発現消失したがん細胞 (sh-RNA導入細胞より作成) を作成し、親株との分化レベルを比較検討した。検討した遺伝子発現は、上皮分化マーカーであるTGM1、TGM3、インボルクリン、幹細胞マーカーであるKLF、NANOG、CD44のバリアント各種である。結果として、CXCL14の遺伝子発現は上皮分化マーカー、および幹細胞マーカーの遺伝子発現と相関することが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
CXCL14による転移抑制メカニズムにがん幹細胞の分化が関与するかどうか検討するため、作成したCXCL14高発現細胞、CXCL14低下細胞および親株を使用しin vivoの実験系で検討を行う予定である。それぞれの細胞をマウス尾静脈より静脈内注射し、リンパ節や遠隔臓器への転移能について検討を行う。また、親株で転移モデルが構築できた場合には、一部を細胞培養、もう一部を病理組織切片作成に使用し、現在の進捗状況に記載したマーカー遺伝子の発現について検討を行う。また、同時に、尾静脈から販売されているリコンビナントCXCL14、およびSDF-1を静脈内注射し、それぞれのサイトカインの転移へ及ぼす影響について検討を行う。CXCL14やSDF-1を静脈内注射した際の、腫瘍組織における分化マーカー、および幹細胞マーカーの発現についても検討する。
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Causes of Carryover |
申請者らは、細胞培養を共同実験施設で行っている。本研究が遅延した理由として、実験に使用した培養細胞が、マイコプラズマに感染した可能性があり、再度、細胞を新たに準備して、再現実験を行ったことがあげられる。来年度については、推進方策に記述したように、主にはin vivoの実験を行うため、動物 (マウス) の購入費、飼育費、およびリコンビナントCXCL14やSDF-1などの分子生物学的薬剤に研究費を使用する予定である。
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