2022 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症関連分子と体性感覚系神経回路発達に関する組織学的解析
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21K10177
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高崎 千尋 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (60451449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 俊博 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (60261319)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 体性感覚 / バレル / グルタミン酸受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
グルタミン酸受容体GluD1はシナプス接着分子の一つとして機能し、自閉スペクトラム症や気分障害などの精神神経疾患と関連する遺伝子の一つである。この分子の大脳皮質体性感覚野での機能の全容は不明である。本研究では、口腔領域の体性感覚野の解析モデルであるバレルの発達に着目し、令和4年度は、バレルの臨界期可塑性の振幅度合にGluD1が関与するのかを野生型マウスとGluD1遺伝子欠失マウスを比較することで検討した。GluD1+/-マウス同士を交配し、生まれた同腹子のGluD1+/+(野生型)マウスとGluD1-/-(GluD1遺伝子欠失)マウスを使用した。臨界期の生後2日に顔面の触覚毛C列を電気メスで焼灼し、生後15日に灌流固定して大脳皮質体性感覚野バレル領域を含む切片を作成し、バレルを免疫染色で検出した。臨界期可塑性の振幅度はMap Plasticity Index:(b2+b3+d2+d3)/2(c2+c3)を用いて計測し、野生型マウスとGluD1遺伝子欠失マウスで比較検討を行った。野生型マウス、GluD1遺伝子欠失マウスとも焼灼したC列に対応する大脳皮質バレルC列が縮小し、隣接するB列D列が拡大した。野生型に比べてGluD1遺伝子欠失マウスでは可塑性の振幅度がやや減少していたが、両者に統計学的有意差は認めなかった。バレルの出現はGluD1遺伝子欠失マウスでは野生型マウスに比べて1日程度出現日が遅れていた。バレルはシナプスの形成とその後のシナプスの刈り込みにより形成される。GluD1はバレルの適正なシナプス形成や刈り込みに必要な因子であるが、バレルの臨界期可塑性の振幅度には影響していない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度に予定していたバレルの出現解析、臨界期可塑性解析は概ね終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
N数を増やし、データを確証高いものにしていく。また、GluD1がどのニューロンに局在するのかを調べる予定である。
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Causes of Carryover |
抗体購入金の一部として残していた67194円が繰越となった。令和5年度分の予算と合わせて抗体購入に使用する。
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