2021 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン療法時の矯正歯科治療の有効性の検討とターナー症候群患者の治療法の確立
Project/Area Number |
21K10187
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
粟田 哲也 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (90758179)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エストロゲン / ターナー症候群 / 下顎骨成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ターナー症候群患者において思春期の二次性徴発現不全に対して行われるエストロゲン補充療法に着目し、エストロゲンが顎骨や下顎頭の成長に及ぼす影響と、矯正歯科治療の至適時期とも重なることの多いエストロゲン補充療法時において、矯正歯科治療の有効性を明らかにすることを目的として研究を行った。4週齢Wistar系雌性ラットに卵巣摘出術(OVX)を行い、エストロゲン(β-エストラジオール)を皮下投与し、エストロゲンが下顎頭の軟骨成長に及ぼす影響について検討した。また、機能的矯正装置が顎骨の成長に及ぼす影響を検討するためラットに小型動物用下顎前方誘導装置を装着し、下顎頭および下顎骨長の経時的成長変化をマイクロCT撮影により形態学的計測を行った。さらに、エストロゲンの軟骨分化への影響を明らかにするため、マウス軟骨前駆細胞(ATDC5)にエストロゲンを添加し、typeⅡcollagenなどの軟骨分化マーカーの遺伝子発現に及ぼす影響についての検討を行った。 その結果、OVXによって下顎骨効果長は増加を認め、増大した下顎骨効果長はエストロゲンの投与により減少を示した。また、ATDC5の軟骨分化において、エストロゲン添加群はtypeⅡcollagen, type X collagenの遺伝子発現量の減少が認められた。以上の結果よりエストロゲンは軟骨前駆細胞の軟骨分化における代謝調節機能を有していることが明らかとなり、それらを介して下顎骨の成長制御に関与している可能性が強く示唆された。
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