2022 Fiscal Year Research-status Report
bFGFを応用した歯根吸収における予防と治療方法開発の基盤構築
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21K10191
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
黒石 加代子 (中尾加代子) 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60468303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森井 葵 九州歯科大学, 歯学部, 医員 (20882046) [Withdrawn]
左合 美紗 九州歯科大学, 歯学部, 特別研修員 (40815825)
川元 龍夫 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (50323704)
水原 正博 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60845402)
郡司掛 香織 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (90448811)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヒト歯根膜線維芽細胞 / メカニカルストレス / 歯根吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
矯正歯科治療時の歯の移動に伴いしばしば歯根吸収を生じ、臨床で直面する重要な問題である。その発症機序は不明な点が多く、基本的な予防方法や治療法は確立していない。近年、歯周病の治療で臨床応用されている歯周組織再生剤 FGF(線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor-2、bFGF)が、歯周組織欠損部の未分化間葉細胞、歯根膜由来細胞に対して増殖促進作用および血管新生促進作用を示し、これらの作用より増殖した細胞が歯周組織の再生を促進することが明らかにとなった。そこで歯根膜におけるbFGFの働きに着目し、矯正歯科治療に伴う歯根吸収の発症機序を明らかにし、bFGFを応用し歯根膜を介した吸収した歯根の再生方法の開発の基盤形成を目指すことを目的とする。 矯正歯科治療時に歯が受ける機械的刺激(圧迫力)を想定した600rpm、900rpmの遠心力を遠心分離機を用い24時間付与した群と機械的刺激(圧迫力)を付与していない群で、ヒト歯根膜細胞におけるセメント質に特異的なマーカー(cementum protein 1(CEMP1)、cementum attachment protein (CAP))について調べたところ、CEMP1は定常状態で発現しており、圧迫力600rpmを付与すると発現量は上昇し、過度な矯正力を想定した900rpmでは発現は減少傾向を示した。また、CAPも定常状態で発現しており圧迫力を付与すると発現は上昇し、600rpmと900rpmを比較すると600rpmの方が発現量は上昇していた。FGF-2も定常状態で発現し圧迫力を付与すると発現量は減少し、圧迫力が強いほど減少した。レセプターであるFGFR-2も定常状態で発現しており、この発現は圧迫力を付与すると上昇し、600rpmと900rpmを比較すると600rpmの方が発現量は上昇する傾向を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養ヒト歯根膜線維芽細胞におけるセメント質特異的分子であるCEMP1(cementum protein 1)と、PTPLA/CAP(protein tyrosine phosuphatase-like、 member A/cementum attachment protein)の遺伝子発現、bFGF(FGF2)とFGF2レセプターの遺伝子発現について、メカニカルストレス条件下での模索を進めていくことができた。従って、概ね順調に進展していると思われる。また、今後FGFR-2阻害薬を用いた実験をするために、濃度を決定するための予備実験の実行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、bFGF(FGF2)-FGF2レセプターを介した、セメント質特異的分子CEMP1と、PTPLA/CAPの発現の関係性について調べるために、機械的刺激(圧迫力)のある状態、ない状態で培養ヒト歯根膜線維芽細胞に、FGF-2(bFGF)あるいは、FGFR-2阻害薬もしくは拮抗薬、bFGF中和抗体を添加し、セメント質特異的分子CEMP1と、PTPLA/CAPの発現変化を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に実験が順調に進行することができずに、令和4年度に使用額が元々多くあった。令和4年度に、細胞培養を維持するための消耗品や試薬、real-time PCRの試薬などの物品費を継続的に購入したが、それでも次年度使用額が生じた。次年度では、阻害薬の購入、細胞傷害性の評価のための実験、培養液中のタンパク量の評価を行う上で更なる物品費購入で使用する予定である。また、学会発表するために旅費としての使用も予定している。
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