2021 Fiscal Year Research-status Report
特別支援学校における嚥下機能と食提供の”ミスマッチ”をなくす取り組み
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21K10193
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
熊谷 美保 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (20398481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒瀬 雅之 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (40397162)
森川 和政 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70514686)
佐藤 大祐 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (70778703)
新井 映子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 客員教授 (90134783)
山村 健介 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90272822)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 障害者 / 嚥下 / 食形態 / 触圧感覚 / 特別支援学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
学校給食は、協同の精神を養うのに不可欠な教育的役割がある。障害のある者と障害のない者が「同じ場で共に学ぶ」ことを目指したインクルーシブ教育システムの構築に向けた環境整備が進められてきたが、特別支援学校で提供される食形態と障害児の嚥下機能とのミスマッチによる窒息・誤嚥が関連するアクシデント・インシデントは後を絶たない。本研究計画では、予備実験で確立した喉頭隆起の動きをフォローする3軸センサを根幹に据え、障害児には指示の入りにくい随意運動に依存した機能検査に代わる①新たな嚥下評価システムの開発および ②特別支援学校における児童の嚥下機能計測と食提供の実態調査を行い、嚥下機能と食提供のマッチングを検証することを目指している。研究計画の初年度にあたる令和3年度は、①に該当する新たな嚥下評価システムの開発の着手してきた。予備実験の段階で有用性が期待された3軸センサでの試作モデル開発に加えて新開発のモーメントの検出を実現する6軸センサでの試作モデル開発を実施した。センサを小型化することで、RSST時などに手指が感じる感覚をトレースすることが可能となり、従来までの垂直方向の力に加えて、水平・前後方向の力を可視化することで対象としている喉頭隆起の動きを3次元的に可視化することが可能となった。これに加え、6軸を採用することで、センサ上を喉頭隆起が動く際に生じる“ずれ”の可視化が実現し、さらに多くの情報を得ることに成功している。しかしながら、センサの検出力を最大限に活かすためにその固定方法が難しく、有病者や障害者に現段階で応用出来るシステムとはなっていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画では、今までにない簡易的かつ無拘束で嚥下機能を評価することの出来るシステムとして、喉頭隆起の動きを可視化することを3軸センサを根幹に据え、障害児には指示の入りにくい随意運動に依存した機能検査に代わる新たな嚥下評価システムの開発と特別支援学校における児童の嚥下機能計測と食提供の実態調査を行い、嚥下機能と食提供のマッチングを検証することを目指している。 研究計画の初年度にあたる令和3年度は、3軸センサでの試作モデル開発に加えて新開発のモーメントの検出を実現する6軸センサでの試作モデル開発を実施してきた。センサを小型化することで、RSST時などに手指が感じる感覚をトレースすることが可能となり、従来までの垂直方向の力に加えて、水平・前後方向の力を可視化することで対象としている喉頭隆起の動きを3次元的に可視化することが可能である。これに加え、6軸を採用することで、センサ上を喉頭隆起が動く際に生じる“ずれ”の可視化が実現し、さらに多くの情報を得ることに成功している。しかしながら、センサの検出力を最大限に活かすためにその固定方法が難しく、有病者や障害者に現段階で応用出来るシステムとはなっていない。 成果のあった項目:6軸触圧センサを活用することで3次元的な喉頭隆起の動きの可視化 抽出された課題:簡易的な固定に依存した現手法では安定した記録が難しく、障害者・有病者を対象とした本研究開発では、明確な固定方法が未完成
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の2年目に該当する令和4年度には、初年度に課題となったセンサの安定した固定を実現するために、設置方法を中心に検討することとしたい。初年度には、自作した固定用ベルトや既存のヘッドキャップなどを改良しながら安定した記録を目指して改良を続けてきたが、明確な方法を見つけ出せずにいる。令和4年度は、センサ形状の見直しから着手し、複数(3-4個)のセンサを柔軟生のあるシート上に配置するなどして、記録部の喉頭隆起への固定方法の模索を行いたい。安定した記録が得られた後は、様々な食品嚥下時のデータを蓄積していくことを予定している。この際には、単に官能検査による飲み込み度を基準とした食品分類ではなく、共同研究者が所有する粘度計を活用し、粘度計を用いて測定した粘度(mpas)との嚥下機能を関連付けることで、定量化した数字をベースとした基準作りに繋がる土壌を作りたい。被験者にはまずは健常者を対象とし、データの蓄積を行い、令和5年度以降から障害者に応用出来るように計画している。よって、本年度中には倫理委員会に対して研究計画の上申を行えるように準備を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う社会情勢の変化に伴い、研究代表者や分担研究者の所属大学では学会出張や研究打ち合わせのための県を跨いだ移動には制限があった。また、研究代表者は、岩手県内の障害者施設などでの医療業務を行っている関係で、特に県外への出張などには制限があった。このことから、申請を行った際の旅費の執行は予定通りには実施できず、その分が次年度使用分となっている。本研究の進捗は、日本咀嚼学会で学会発表を行ってきたが、オンラインのみの開催の学会を選択した。次年度(令和4年度)も、社会情勢がどのように変化するのかは分からないため、積極的に旅費を計上するのではなく、当該年度に課題となったセンサの固定方法を確立するための費用として計上し、抽出された課題の解決を優先的に行うこととする。
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Research Products
(2 results)