2022 Fiscal Year Research-status Report
バイオ3Dプリンターと臍帯由来幹細胞を用いた早期顎裂閉鎖の新規ストラテジー
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21K10194
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
須田 直人 明海大学, 歯学部, 教授 (90302885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
時岡 一幸 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70332616)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 顎裂再建 / 生体材料 / 骨欠損形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、移植後に効率良く骨形成を促す生体材料を検討してきた。具体的には、2021年度から検討を開始した、吸収性に優れ組織親和性が高い12回のRGD(Arg-Gly-Asp)配列を持つレコンビナントⅠ型コラーゲン(RCP)粒子から成る骨再生誘導材を用いた研究を継続した。 唇顎口蓋裂患者の顎裂は、形態的・機能的な問題をしばしば引き起こす。顎裂に対する最も一般的な治療法は二次骨移植術である。この外科処置では多くの症例で自家骨移植が行われているが、ドナー組織や組織採取に伴う外科的侵襲のない吸収性の骨再生誘導材に期待が寄せられている。そこで、このRCP粒子の移植とコラーゲン/ハイドロキシアパタイト(HAp/Col)複合体のラット顎裂モデルへの移植で誘導される硬組織形成を、μCTで比較検討した。 得られた結果より、誘導された硬組織量はいずれの誘導材によっても増加したが、RCP粒子とHAp/Col複合体間で有意な差はなかった。しかしながら、RCP粒子による骨再生は、実験的顎裂の断端に硬組織を伸長させたのに対し、HAp/Col複合体は骨欠損内部に島状に硬組織形成を誘導した。RCP粒子のRGD配列は細胞のインテグリン分子に結合することが知られている。本研究では、この特徴によってRCP粒子が骨欠損部に連続した硬組織形成を誘導した可能性が示唆された。 上記の結果を、"Reconstruction of Experimantal Alveolar Cleft by Recombinant Type I Collagen Peptide Particles"として報告し、J. Meikai Dent. Med誌に投稿し2023年2月に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、研究の比重を生体材料に置き、その骨誘導能に関して重点的に実験を行ってきた。得られた結果をまとめ論文投稿・掲載まで至った点は評価できる。研究の方向性として、細胞移植を伴わなくても生体材料単独で十分な骨誘導が図られるという感触を得たことも有益であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題は唇顎口蓋裂患者の顎裂再建を最終目的と進めている研究である。そこで研究課題の最終年度にあたる2023年度は、臨床応用を念頭に置いて、顎裂再建手術に有用な知見の集積を急ぎたい。具体的には、現在進めている顎裂の早期閉鎖を目的とした歯肉骨膜移植術において併せて行っている患児の骨髄移植の臨床成績を評価し、様々な学術大会や学術雑誌への報告を進めていく。
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