2022 Fiscal Year Research-status Report
Inhibition of abnormal calcification by augmented ENPP1 via Nrf2
Project/Area Number |
21K10197
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
菅崎 弘幸 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (30333826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 豊 鶴見大学, 歯学部, 助教 (00633588)
成宮 毅 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (00803074) [Withdrawn]
中村 芳樹 鶴見大学, 名誉教授 (10097321)
和田 悟史 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20581119)
勝又 裕太 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (70886423)
石川 美佐緒 鶴見大学, 歯学部, 講師 (90582445)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Nrf2 / 異所性石灰化 / ENPP1 / ピロリン酸 / 骨芽細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織石灰化は健全な生体において厳密に制御されており、骨・歯などに限局されている。しかしながら軟組織の異所性石灰化、たとえば加齢に伴う大動脈石灰化などはQOLの著しい低下や致死的疾病状態など生体にとって有害である。抗酸化酵素発現マスターレギュレーターである転写因子Nrf2は骨芽細胞分化も抑制すると知られているが、Nrf2活性化と異所性石灰化の関連については未だ報告がない。石灰化抑制因子として知られるピロリン酸はENPP1によって産生され、異所性石灰化にENPP1機能低下が関与することが報告されている。我々は、in vitroにおいてNrf2活性化はENPP1発現を上昇させ、石灰化を抑制するデータを得ている。本研究課題では、Nrf2の活性化は石灰化抑制因子であるピロリン酸の産生酵素ENPP1発現を上昇させ異所性石灰化を抑制できると研究仮説を立て、その検証および分子生物学的制御機構についてin vitro、in vivo、ex vivo実験系を用いて解明することを目的として研究を行った。in vitro実験系において、骨芽細胞セルラインMC3T3-E1へのNrf2活性化剤はENPP1発現を増強させるデータが得られた。また石灰化培地で石灰化を促進させる場合にNrf2活性化剤を併用すると石灰化が抑制されること、および骨芽細胞分化が抑制されることが遺伝子レベルおよびアリザリンレッド染色で明らかとなった。 また、in vivo実験系として、後縦靱帯骨化自然発症マウス(TTWマウス)飼育時にNrf2活性化剤を反復投与したところ、マイクロCT画像上で後縦靱帯の石灰化が阻止されることを明らかとした。 以上から、Nrf2活性化はENPP1発現を上昇させ、局所におけるピロリン酸濃度を上昇させることで生体において異所性石灰化を阻止できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vivo実験系として、後縦靱帯骨化自然発症マウス(TTWマウス)飼育時にNrf2活性化剤を反復投与したところ、マイクロCT画像上で後縦靱帯の石灰化が阻止されることを明らかとしたが、生体局所においてピロリン酸濃度がどのようになっているかを解析する方法について条件検討に時間がかかっており、研究計画から若干の遅れが懸念される。 またin vitro実験系においては、共同研究機関から供与を得た黄色靱帯骨化症患者の検体を通常培地または石灰化培地で、かつNrf2活性化有無の条件下で組織培養する系を行っていたが、サンプル数に対して解析を行う時間がとれず遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
培養を終えて凍結保存しているサンプルがまだ多数残存しているため、可能であれば委託解析を行い効率的に研究を進める。
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Causes of Carryover |
研究代表者および分担者とも外来診療・教育に時間が割かれ研究を進めるのに十分な時間を割くことが難しかったため次年度使用額が生じた。 計画として、ヒト摘出組織片を用いたex vivo実験系を進めていく。すなわち共同研究機関から供与を得た黄色靱帯骨化症患者の検体を通常培地または石灰化培地で、かつNrf2活性化有無の条件下で2,4,6週組織培養する。培養後マイクロCTにて石灰化評価、組織切片にて組織学的・免疫染色解析、さらにRNA抽出後逆転写反応を行いリアルタイムRT-PCR法にてENPP1を含む石灰化関連遺伝子発現解析を行い、ヒト組織においてもNrf2活性化が石灰化進行を抑制できるかを評価する。
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