2021 Fiscal Year Research-status Report
特定健診、歯科健診、KDBデータ、唾液サンプルを用いたコホート研究
Project/Area Number |
21K10205
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
栗田 浩 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (10273103)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 口腔衛生状態 / インフルエンザ / 高血圧症 / 口腔乾燥 / 唾液腺 / 特定健診 / 歯科健診 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的および内容別の本年度の研究実績は以下の如くである。 (C)特定健診、レセプトデータ、歯科口腔健診、唾液サンプルが紐付けされたデータベースを整備する。:新型コロナウィルス感染の流行等の影響により、2020年度は特定健診集団健診が行われなかったが、2021年度から健診事業が再開され、歯科健診も再開している。2021年度は約1200名の歯科健診、唾液健診を行った。 (A)介入研究により歯周病とMETSとの関連を明らかにする。:現在、2014年からのデータに2021年健診分のデータを加えて、解析中である。 (B)口腔と全身の新たな関連の検討:1)インフルエンザと口腔との関連;過去のデータ(2017ー2019年 2,904名分)を解析し、口腔の衛生状態がインフルエンザ罹患と関連がある事を明らかにし、学会発表、論文投稿(掲載済み PLOS ONE 2021)を行った。具体的には、歯科健診後のインフルエンザ罹患をレセプトデータから調査し、歯科健診時の口腔衛生状態との関連を検討したところ、口腔衛生状態が不良な者は、良好な者に比べてインフルエンザを発症する率が1.63倍(オッズ比)であった。2)口腔乾燥と高血圧症;過去の健診データ(2017年の健診データ 1997名)を解析し、口腔乾燥と高血圧症・動脈硬化との関連を明らかにし、学会報告、論文投稿(掲載済み Clinical Oral Investigation, 2021)を行った。具体的には、健診結果で口腔乾燥症の有無と年齢、糖尿病、血圧などとの関連を検討した結果、高血圧症は口腔乾燥の有意な独立予測因子であった。その後、手術により摘出された唾液腺組織とその患者の血圧との関連を検討した結果、高血圧患者では唾液腺小動脈の動脈硬化が進行しており、唾液腺の萎縮へとつながっていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染の流行により、2020年度は安曇野市および塩尻市で行う集団特定健診が中止となったため、われわれの行う歯科健診も中止となった。2021年からは安曇野市の協力が得られなくなったが、塩尻市では集団特定健診が再開され、歯科健診も再開された。以前に比べて特定健診・歯科健診を受診する人数は減少(約6から7割程度)しているが、クラスターの発生等も無く、今後も健診が継続され、われわれの研究も継続していく目途が立っている。今後も新たな健診によるデータの蓄積に関しては不安定な要素は残されているが、今後は感染状況の収束や新しいスタイルを模索しながら健診受診者の増加(回復)を見込んでいる。 今後も新たな健診によるデータの蓄積に関しては不安定な要素は残されているが、2014年から2019年までに蓄積されたデータ(特定健診データ、歯科健診データ、唾液サンプル、レセプトデータ)を用いることにより本研究の目的および内容は達成できると考えている。すでに、研究目的のひとつである「口腔と全身の新たな関連の検討」に関しては、インフルエンザと口腔衛生状態との関連を分析し、既に論文として公表することができた。また、口腔乾燥と高血圧症・動脈硬化との関連に関しても、本研究の疫学調査の結果から、基礎的・組織学的検討を加えることにより両者の関連を明らかにし、論文として公表した。今後、残された研究テーマである、「歯科受診(歯科受診・治療)によりMETSは改善するか」についても、蓄積されたデータを解析することにより検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染の流行による健診事業の中止や健診受診者の減少により、新たなデータの蓄積数の延びは期待できないところはあるが、感染対策の徹底や健診事業の重要性を訴えることにより、健診の継続や受診者の増加につなげていきたい。 また、すでに本研究を遂行できるだけのデータの蓄積はあり、既に計画した2つの課題に関する検討を終了した。あと残されたひとつの課題についても、過去のデータを解析することにより検討が可能である。 健診データの整備は順調に進んでおり、唾液サンプルの保存もこれまでどおり継続していく。
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Causes of Carryover |
唾液サンプルを収容するためのディープフリーザーを購入予定であったが、新型コロナウィルス感染流行のため、健診受診者が減少し、R3年までは既存のフリーザーで収容可能であったため、新規購入を行わなかった。 R4年度に購入予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Relationship between dry mouth and hypertension2021
Author(s)
Kawamoto M, Yamada SI, Gibo T, Kajihara R, Nagashio S, Tanaka H, Yajima J, Takizawa A, Kondo E, Sakai H, Kaneko T, Uehara T, Kurita H
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Journal Title
Clin Oral Ingvestig
Volume: 25
Pages: 5217-5225
DOI
Peer Reviewed
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