2021 Fiscal Year Research-status Report
DMBT1 involvement in induction of oral mucositis by Candida
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21K10214
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
於保 孝彦 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (50160940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 恵美 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (00304816)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カンジダ菌 / 口腔粘膜炎 / DMBT1 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、C. albicansとDMBT1の相互作用について調べ、以下の成果を得た。 1. C. albicansのDMBT1への結合をELISA法で調べた。C. albicansは、その菌数依存性にDMBT1への結合は増加し、反応液中にDMBT1を添加すると濃度依存性に結合抑制を生じた。このことから、C. albicansはDMBT1に特異的に結合することが明らかになった。 2.C. albicansのDMBT1への結合に及ぼす唾液中2価陽イオン(Ca、Mg、Mn)の作用を調べたところ、Caイオンの添加によって結合が促進されることが認められた。 3.C. albicansのDMBT1への結合に及ぼすDMBT1および菌体表層の構成糖の作用を調べたところ、マンノースとシアル酸は菌の結合を濃度依存性に抑制することが認められた。また、これらの糖を認識するレクチンであるConcanavalin AやMAM, SSAによっても結合抑制が認められた。このことから、マンノースとシアル酸は菌体のDMBT1への結合に関与することが明らかとなった。 4.DMBT1を構成するペプチド(SRCRP1-7およびSID22)へのC. albicansの結合を調べたところ、菌体はSRCRP2へもっとも強く結合することが認められた。 5.C. albicansのSRCRP2への結合に及ぼす唾液中2価陽イオンおよび糖の作用を調べたところ、Caイオンは結合促進を示さず、一方でマンノースとシアル酸は菌体の結合を抑制した。このことから、CaイオンはDMBT1の立体構造の変化を誘導しC. albicansとの結合領域の曝露に関与すること、およびマンノースとシアル酸は菌体のSRCRP2への結合にも関与することが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、おおむね当初の計画に沿って実験を行うことができた。 これまで、C. albicansによる口腔粘膜炎の発症について共存する口腔レンサ球菌の作用、および両者に影響を与える唾液成分の作用を含めて検討した報告はない。今回、口腔レンサ球菌との相互作用が報告されている唾液成分であるDMBT1を用いて、C. albicansの結合反応を調べた。C. albicansはDMBT1に特異的に結合することが明らかとなり、この反応への唾液中2価陽イオン、およびDMBT1と菌体表層構成糖の影響を確認することが出来た。さらにこの結合反応について、DMBT1の結合機能領域ペプチドを同定することが出来た。これらの結果は今後の研究の進展にとって有益な情報となる。 これらの理由から、進捗状況としてはおおむね順調であり、次年度に向けて研究を進めて行きたい。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、C. albicansとDMBT1の機能領域であるSRCRP2との反応に関わる菌体成分の同定に着手する。菌体表層成分をzymolyase処理によって抽出し、カラムクロマトグラフィー法で単離を試みる。その後、精製成分を質量分析やN末端アミノ酸分析で同定する。また、その成分が菌体表層に局在することを免疫染色で確認する。 次に、C. albicansと口腔レンサ球菌であるS. mutansとの相互作用を位相差顕微鏡で調べる。 さらにC. albicansとS. mutansとの混合体を口腔粘膜上皮細胞に作用させ、DMBT1の誘導をmRNAレベル(リアルタイムPCR法)およびタンパクレベル(ウエスタンブロット法)で調べる。
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Causes of Carryover |
当初計画で実施する予定であったC. albicansとS. mutansとの相互作用を確認できなかった。当該研究に用いる予定の消耗品費を使用しなかったため、次年度使用額を生じることとなった。 令和4年度は、C. albicansとS. mutansとの相互作用を確認するため、この費用を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)