2021 Fiscal Year Research-status Report
がん化学療法誘発口腔粘膜炎に対するTNF-αアンタゴニストの効果についての検討
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21K10230
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉松 昌子 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (20420630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鵜飼 孝 長崎大学, 病院(歯学系), 教授 (20295091)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | TNF-α / 口腔粘膜炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん化学療法中に発症する口腔粘膜炎は患者のQOLの低下を招くことがあり、発症や悪化の予防が課題である。本研究ではマウスを使用して、がん化学療法薬により悪化する口腔粘膜炎に対するTNF-α阻害薬の抑制効果について検証することを目的とする。口腔粘膜炎の発症にはTNF-αの関与が報告されている一方、リウマチ性関節炎や腸炎などの全身性炎症性疾患ではTNF-αの作用をブロックすると症状が改善するとの報告がある。そこで、TNF-α阻害薬のひとつであるフェキソフェナジンを使用して、マウスの口腔粘膜炎モデルを作製してその効果を検証することとした。まず、口腔粘膜炎モデルを作製するために、8週齢雄BALB/cマウスを吸入麻酔後、生理食塩水で希釈した化学療法剤5-FU 40mg/kgを1日おきに3回腹腔内注射し、最終投与から2日後、下顎切歯唇側歯肉粘膜を酢酸処理して口腔粘膜炎を誘発した。5-FUの代わりに生理食塩水を注射した群をコントロールとした。これらの口腔粘膜を採取して、4%ホルムアルデヒドにて固定し、通法に従いパラフィン切片標本を作製し、組織観察を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は口腔粘膜炎モデルの構築と組織学的解析を行うこととしていた。モデルの構築に時間を要したため、現在、組織切片標本の染色を開始した段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は口腔粘膜炎モデルを使用してTNF-α阻害薬フェキソフェナジンを毎日経口投与した群とコントロール群について組織学的に比較し、フェキソフェナジンの効果について検討する。さらにRNAレベルでの解析に進む予定である。その後、マウス口腔粘膜上皮細胞を採取して培養し、in vitroにおいてもフェキソフェナジンの効果を検証する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた動物実験の一部を次年度に行うこととしたため消耗品の購入が予定の費用を下回った。残額を次年度に繰越し、免疫染色を行うための試薬や抗体などを購入し、炎症性サイトカインの局在について組織切片にて観察予定である。
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