2023 Fiscal Year Annual Research Report
真菌とウイルスによるサイトカインストームにおける非古典的インフラマソームの役割
Project/Area Number |
21K10233
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
玉井 利代子 奥羽大学, 歯学部, 教授 (90367566)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Caspase-11 / 非古典的インフラマソーム / Sタンパク / SARS-CoV-2 / Toll-like receptor |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①ウイルス感染症と口腔カンジダ症などの内因感染症における caspase-11 の役割を明らかにして、② caspase-11 の発現を増強または抑制する薬剤の、易感染性宿主における有用性を検討し、高齢者社会における感染症に対する新たな予防法に応用することである。 本年度は、以下の結果を得られた。1. Caspase-11 の発現を増強する薬剤である窒素含有ビスフォスフォネート (アレンドロネート, ALN) による前処理は、マウスマクロファージ様 RAW-ASC 細胞の、TLR2 リガンドが誘導する IL-1α, IL-1β, IL-6, TNF-α 産生を増加した。2. ALN は、SARS-CoV-2 の Sタンパクが誘導する同細胞の IL-1α, IL-1β, IL-6, TNF-α産生を増加した。3. 非古典的インフラマソームの中心である caspase-11 の、ウイルスおよび常在微生物に対する免疫応答における役割を明らかにするために、ALN で前処理した caspase-11 欠損 RAW-ASC 細胞を用いて 1. と同様の実験を行ったが、 caspase-11 欠損細胞においても TLR2 リガンドが誘導する IL-1α, IL-1β, IL-6, TNF-α産生が未処理の細胞と比較して増加した。4. ALN 含有培地での24時間培養は、RAW-ASC 細胞と caspase-11 欠損 RAW-ASC 細胞の MyD88 発現を増強した。5. ALN 前処理は、 RAW-ASC 細胞の、 TLR2 リガンドが誘導する NF-κB 活性化を増強した。 以上の結果と最近の知見から、非古典的インフラマソームは生体防御において重要な役割を担う一方で、必ずしも不可欠ではないことが考えられる。
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