2021 Fiscal Year Research-status Report
メタ16S解析を用いた帝王切開出生児の口腔内細菌叢獲得機序の解明
Project/Area Number |
21K10266
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
佐野 拓人 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (90880592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 拓一 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10303132)
岡田 康男 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (40267266)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 口腔内細菌叢 / 新生児 |
Outline of Annual Research Achievements |
帝王切開にて出生した新生児では腸内細菌叢および口腔内細菌叢に構成異常(dysbiosis)が起こることが報告されている。新生児期のdysbiosisは免疫系の発達不全や代謝系へ長期的な変化を引き起こすことが示されている。口腔内細菌叢においては帝王切開児では自然分娩児に比べて、早い時期からう蝕関連菌を獲得すること、幼児期う蝕のリスクが上がることが報告されている。口腔は消化管への門戸でもあり、細菌叢の口腸連関も示されていることから、口腔 dysbiosis は腸内細菌叢の撹乱、ひいては新生児の正常な発達にも密接に関連する問題である。本研究では分娩形式に関連した新生児口腔dysbiosisの発生プロセス及び、新生児の正常な口腔内細菌叢形成とは何かを明らかにするために、経時的に新生児口腔内細菌を質的(細菌叢構成)かつ量的(細菌量変動)に解析する。 本年度は新生児の口腔内細菌叢を解析するためのセットアップを行った。ヒト唾液から分離された細菌59種に関して、細菌の分類に用いられる16S rRNA遺伝子をPCR法で増幅し、制限酵素で切断後、アガロース電気泳動した像(PCR-RFLP像)を収集した。制限酵素であるHpaIIを用いて得られるPCR-RFLP像が、多くの口腔内細菌の分類に有用であることを明らかにし、成果を論文として公表した。新生児の口腔内擦過サンプルの採取にも着手しており、我々の構築したPCR-RFLP像を用いた細菌叢解析法を利用して細菌叢構成と細菌量変動の解析を行なっている。加えて、ヒト母乳には特有の細菌叢が存在していることが近年の研究で明らかになっていることから、本研究ではこのことにも配慮し、授乳形式(母乳育児・母乳と人工乳の混合育児・人工乳育児)によっても被験者を分類し、母乳と口腔内細菌叢形成の関連についても検討を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PCR-RFLP像を用いた細菌叢解析法を確立し、本手法を用いた解析が予定通り順調に進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続きPCR-RFLP像を用いた細菌叢解析法を用いて、新生児口腔内細菌叢の経時的な解析を進め、細菌叢形成過程の法則性や、優勢を占める細菌の推移について探求する。加えて、次世代シーケンサーを用いたメタ16S解析を行い、より詳細な細菌叢構成についても解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究の細菌叢解析過程における実験プロトコルを一部変更したため、DNA抽出試薬やPCR用試薬等の消耗品の使用量が予定より減少し、未使用額が生じた。未使用額分は次年度のメタ16S解析費として支出する予定である。
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Research Products
(2 results)