2022 Fiscal Year Research-status Report
効果的な社会的処方を実践するための地域共通モデルシステムの開発
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21K10279
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
牧石 徹也 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (60898708)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地域資源 / 地域リソース / 社会的処方 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は効果的な社会的処方を実践するためのモデルシステムを構築しその普及を図るものである。具体的には、『A.患者の社会的背景について系統的に聴取する方法』を開発し、『B.医師・看護師・薬剤師・ソーシャルワーカー等の多職種で利用可能な社会制度や地域資源について の情報をデータベース化』して、必要な人に必要な社会的処方を実践する効果的な仕組みを開発することを目的としている。 2021年度は、大田市の医療および福祉関係者との意見交換により、医療者が把握すべき患者の社会的背景、また円滑な社会的処方を阻む因子について、それぞれ 具体的因子の掘り起こしを行った。 2022年度は、上記Bに関して、関係者や地域住民とのミーティングを実施することにより、島根県大田医療圏における 利用可能な“地域資源”情報のリストアップを行いデータベース化した。具体的には、地域資源を①福祉、②高齢者介護、③健康増進、④医療、⑤子育て、⑥地域の繋がり、に関するものに大別し、それぞれの領域において公的なもの(行政制度等)と非公的なもの(ボランティア団体等)に分けてリストアップを行った。例えば⑤『子育て-公的なもの』では「ひとり親家庭の支援窓口(大田市役所子ども家庭支援課)や「子どもの居場所づくり事業」(まちづくりセンター)など13の'資源'が、⑤『子育て-非公的なもの』では「子ども食堂」や「放課後児童クラブ」など5つの'資源'が挙がった。このような大田医療圏でアクセス可能な'資源'をリストアップ結果、全6領域で62もの'資源'をリストアップし可視化することが出来た。 資源は利用されてこそ価値が生まれるものであるが、往々にしてどのような資源があるのかが分からない、分かりにくい、という障壁が存在する。その点で、大田医療圏における社会資源をリストアップしデータベース化できた意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度に『A. 患者の社会的背景について系統的に聴取する方法を開発』を着手したが、大田市の医療・福祉関係者と繰り返し行った議論を通じ、患者の抱える「社会的背景」は非常に多岐に渡ること、そしてそのような「社会的背景」を聴取するには当然ながら患者や患者家族の心理的障壁が存在すること、また聴取する側(医師や看護師、MSW等)にも心理的負荷がかかることが浮き彫りとなった。現場において妥当かつ有用な「系統的な聴取法」とはどんなものか、方向性を見出すことに難渋している。また、島根県下での新型コロナウイルス流行により県下の他の医療機関との打ち合わせやその他の関係者との対面でのミーディングが困難であったこともあり、研究の進捗は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、『A. 患者の社会的背景について系統的に聴取する方法を開発』に関連して、現場において妥当かつ有用な「系統的な聴取法」とはどんなものか、関係者と対面でのミーティングを重ねて具体的方向性を見出していく。現状では、社会的処方の対象となる方の中でも、特に金銭面や生活面での中等度から重度困難事例は、担当医や看護師を通じて各医療機関の地域連携室などに所属するソーシャルワーカーや、病院外では地域包括支援センターや社会福祉協議会の担当者が、見出し、対応されている。一律に「社会的背景」といった機微な情報を聴取することの困難さを考慮すれば、そのような方々にとって使い勝手の良い形で地域の社会的処方のリソースをデータベース化したものを提供する方が良いかもしれない。ソーシャルワーカーや、病院外では地域包括支援センターや社会福祉協議会の担当者と具体的議論を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染流行などの影響から研究計画に遅れが生じ、予定をしていた調査やミーティング等が一部実施できず、そのため、関係者間でのデータ共有等のために予定していた複数台のタブレット型端末の購入も実施しなかった。 2023年度には改めて調査や関係者とのミーティングを行い、またデータ共有や解析のため、ブレット型端末の購入などを予定している。
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