2021 Fiscal Year Research-status Report
子どものいのちに関わる協働意思決定の実態調査研究~小児科医と家族の対話の構造化~
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21K10293
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Research Institution | Seinan Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
笹月 桃子 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (40809125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 康成 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10380396)
加部 一彦 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30201437)
櫻井 浩子 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (50584380)
松岡 真里 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30282461)
板井 孝一郎 宮崎大学, 医学部, 教授 (70347053)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 代理意思決定 / 小児 / 協働意思決定 / 対話 / 医師・家族関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1:重篤な染色体異常症を持つ子どもの家族を対象としたプレアンケート調査を実施した。36名より回答を得た。その自由記述の記載について内容分析を行った。その結果より抽出された概念に添い、以下、明らかになった。 【医師の話】は施設の方針ありきで,家族は【医師の話を理解できない】【話を医師に受け入れてもらえない】状況にあった。【医師と家族の関係】において価値観や想いが異なることから,分かち合えないと感じていた。その結果,家族は【正の心情】として感謝をしつつも、【負の心情】として疎外感などを抱えていた。【医師の話の内容】が不可能から始まる会話のため,【医師に頼るしかない】現状にあり,【家族の心情】として躊躇,遠慮,我慢が強いられていた。柔軟かつ真摯な【医師の姿勢】と、対等な【関係づくり】が望まれていた。【家族】の【理解の支援】として,わかりやすい説明や理解のための十分な時間の確保,また専門職や第三者による【心理的支援】求められていた。また施設基準にとらわれない,かつ医師の主観を排した説明,前向きな【情報】が求められており,【病院外・他施設の情報】【幅広い選択肢】【医師以外の人の話】を得るために医師以外の職種からの説明や相談窓口の設置が要望として挙げられた。子どものいのちに関わる最終決定にどの程度関わりたいか,スケール0~10の間で回答の結果は,中央値は8であったが,3~10と幅が見られた。しかし共通して最終的には親として納得して決めたいという強い想いが示された。 (櫻井浩子,笹月桃子,加部一彦. 18トリソミーの子どもの家族の医師との話し合いにおける心理社会的体験. 日本周産期医学学会雑誌(3)52 (2022.3))
研究2:医療者対象のインタビューとそのデータ分析を開始した。治療方針の「決定」は点ではなく、様々な対話の連鎖の帰結であることが語られた。引き続きデータ収集と分析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に施行予定であった研究1のプレ調査を予定通りに終えた。 また研究2については、家族へのインタビュー調査はコロナ禍による直接対面が難しく予定数に達してはいないが、医療者対象インタビューは予定通りに行え、また分析や研究者間の議論も平行して継続的に行った。 インタビュー調査については当初より2023年度まで継続の予定であるため、全体として概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、医療者、家族へのインタビューを継続し、データの分析を行い、全国アンケート調査(量的分析)に向けた、調査項目の設定を行う予定である。その上で、2023年の前半には全国調査を実施し、結果の分析まで終える予定である。
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Causes of Carryover |
研究者間での打ち合わせ会議及びデータ分析の場を予定し、旅費を計上していたが、コロナ禍により実施できなかった。またインタビューについても、家族対象分は対面で行う予定であったが、実行できなかった。 医療者についてはweb面談に切り替えて、インタビューを開始したが、上述の通り、家族対象をしていない分、インタビュー全体としては予定より件数が少なく、逐語化の外部委託については年度末に数件にとどまった。2022年度が明けた現在、インタビューの件数が伸びており、今後逐語化とデータ分析が進み、研究者間での議論も対面化の予定である。また対面形式による家族対象のインタビューを実施する予定にしており、それに伴う旅費に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)