2021 Fiscal Year Research-status Report
医療データベースを用いた稀少な病態・治療法のアウトカム評価手法の開発と精緻化
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21K10299
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伏見 清秀 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50270913)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | データベース研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
分析用の2010年から2020年の長期DPCデータベースの構築を進めた。5大がんの根治手術患者等を対象に患者選択、外来データを含む長期連結データベースの作成した。生存率、合併症発生率等の推計値を計測を進めたが、フォローアップ脱落例、合併症発症の検出の課題が明らかとなった。今後、脱落例の統計学的な処理の手法の精緻化を進める必要があると考えられた。 迅速なデータベース構築と分析のために、6か月単位で医療機関から収集されるDPCデータを即座にデータベースに流し込みでデータ処理を進める工程を確立した。当初、予定した3ヶ月単位のデータベース構築はコストが膨大となるため、困難であった。Covid-19等の新興感染症については、感染の拡大状況、治療効果の解析、Covid-19感染症が他の臨床病態に与える影響等の関する分析を進めた。 外来データを含めたDPCデータベースを用いて、心臓リハビリテーションの効果を検証し、再入院率の減少などの効果を認めたが、長期アウトカムの一つである死亡率等の有意な低下は認められなかった。また、COVID-19の感染者数、入院患者数、死亡者数等の減少が、緊急事態宣言による政策的・非医学的な介入と有意に関連することが認められるなど、迅速に構築されたDPCデータベースが政策的介入の検証にも用いることができる可能性を示した。同様に、慢性疾患の予防可能な入院の発生率の分析から、COVID-19感染症のパンデミック早期には、入院発生率の増加は認められず、プライマリケア医療が有効に機能していたことを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データベース構築は順調に進んでいる。また、6ヶ月単位でのデータベース構築と迅速な臨床疫学研究の実施の実行可能性を示すことができている。また、Covid-19の診療実態や他の疾患の診療への影響等を明らかとすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
外来診療脱落例が比較的多く認められたため、今後、長期予後フォローアップのための統計解析の精緻化を進める予定である。迅速に構築されたDPCデータベースを用いて、最小6ヶ月程度のラグでCovid-19感染症の診療への影響の分析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
データベース構築が順調に進んだため、作業費の支出が予定より少なくなったため、当該年度の研究費使用が少額となった。一方、さらなる分析に伴う経費は次年度以降必要となるため、次年度に研究経費として用意する必要がある。
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