2021 Fiscal Year Research-status Report
女性医師のアカデミックキャリア向上を目指した新たな教育プログラムの開発
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21K10305
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
須崎 康恵 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (30382302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長井 美奈子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (80646092)
裏山 悟司 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90609976)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 女性医師活躍 / ライフイベント / 研究機会 / 業務軽減 |
Outline of Annual Research Achievements |
奈良県立医科大学の臨床系教室(以下「医局」という)に、女性医師活躍状況(同門会の男女医師数と管理職に就く男女医師数、過去5年間の男女別入局者数/専門医取得者数/学位〈医学博士〉取得者数)を質問する調査票を配布し、全25医局から回答を得た。その後、医局の責任者に、医師育成の基本方針と課題、妊娠・出産・育児・不妊治療・介護等ライフイベント発生時の医局の対応、ライフイベント発生時に対応を求められた実績について男女別で回答を求めた。また、教員採用前の医員に対する研究機会の基本方針、ライフイベントに直面する医師への研究機会、教員採用の基準、女性医師への要望について質問し、全25医局の責任者から書面で回答を得た。これらの調査から、本学で同門会の女性医師割合が高い6医局(上位25%)の中には、上位職に就く女性医師の割合も上位25%に入る医局が4医局存在したが、残り2医局は女性医師割合が高いにも関わらず、上位職女性医師の割合は低い状況にあった。これら2医局では、教員採用前の医員への研究機会は大学院生に限られており、出産・育児等ライフイベント中の女性医師に対しては、時間外勤務免除や当直免除を医局の方針として一律に実施すると回答していた。一方、上位職に就く女性医師割合の高い6医局の内5医局では、教員採用前の医員には男女に関わらず全員に研究機会を設け、ライフイベント時の対応も医局で一律に決めるのではなく、医員本人の要望に基づき対応すると回答していた。これらの結果から、①教員採用前の若手医師には、男女や大学院進学に関わらず全員に研究機会を設けること、②ライフイベント中の女性医師に対する業務軽減は、医局で一律に決めるのではなく、当該女性の意向を踏まえた上で、キャリア形成を考慮して個別に検討することが、上位職女性医師増加につながると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
奈良県立医科大学の臨床系教室(以下「医局」という)に、女性医師の活躍状況に関する調査を書面で行った後、医局の責任者に職場環境についてインタビュー調査を計画していたが、COVID19の感染状況から対面調査が困難となったため、書面で回答を得た。調査方法に変更はあったものの、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
調査で得た各医局の女性医師活躍状況と育成方針やライフイベント発生時の対応について更に関連を検討し、女性医師のキャリア向上に影響を及ぼす職場環境について調査を進める。同時に、女性医師育成の課題も抽出する。令和4 年度は、奈良県立医科大学に在籍する講師以上の女性医師教員にインタビュー調査を予定しており、これらの調査から、女性医師昇進の経緯およびに昇進を可能にした職場の要因について検討する。
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Causes of Carryover |
COVID19感染予防の観点から、予定していた全医局責任者へのインタビュー調査が実施できなかった。従って、インタビュー調査に関連する経費が不要になったため、次年度使用額が生じた。
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