2021 Fiscal Year Research-status Report
ノセボ効果の個体間変動要因の解明:脳前頭前野活性と脳内伝達物質の遺伝子多型
Project/Area Number |
21K10311
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井澤 美苗 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 研究員 (10338006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青森 達 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 准教授 (40620802)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ノセボ効果 / 脳内神経伝達物質 / コレシストキニン / パーソナリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は Covid19の影響があり、臨床研究ができない状況であった。代わりに、薬剤師100名を対象にノセボ効果の認知度に関するアンケート調査を実施した。本調査の目的は、ノセボ効果という言葉を薬剤師はどの程度知っているのか、さらに服薬指導時にノセボ効果をどの程度考慮しているのかを明らかにすることである。ノセボ効果の発現を最小化することは、副作用の発現を抑えることに寄与し、薬物治療に役立つ可能性が高く、ノセボ効果の臨床的ニーズは大きいと考えられる。アンケート調査から分かったことは、ノセボ効果という用語は薬剤師でも広く認知されているとは言い難い。一方8割程度の薬剤師はノセボ効果という現象を意識し服薬指導に活用していた。また活用の必要性を感じていた。副作用の説明を行う際に気をつけているかの質問には、8割以上の薬剤師が患者の不安を軽減することと答えた。またノセボ効果を意識して指導している患者の特性についての質問には不安が強く神経症的傾向の強い患者と答えた薬剤師が8割を超えていた。ノセボ効果は患者のパーソナリティによって発現の違いがあることを示唆するものである。 臨床研究実施にあたって、ノセボ効果との関連性が高い脳内神経伝達物質のコレシストキニンの遺伝子多型判定を計画に盛り込んでいる。この神経伝達物質をノセボ効果に最も繋がりのある物質と考え、文献調査を試みた。その結果、コレシストキニンとノセボ効果に関する論文がいくつか抽出され、臨床研究も行われていた。しかし論文数は少なく、日本人での検討はされていない。これから実施する臨床研究にとって必要な調査である。ノセボ効果とコレシストキニンの関連メカニズムが明確になり、遺伝子多型によってノセボ効果が現れやすい患者や対象者を分けることができる可能性が考えられ、臨床における薬剤のより安全な使用や臨床試験のより効果的な実施に寄与するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Covid19の影響があり、臨床研究ができない状況であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、ノセボ効果の認知度に関するアンケート調査や、ノセボ効果と関連がある脳内神経伝達物質の文献調査を試みた。これらの調査結果は、ノセボ効果の臨床研究につながるものである。2022年度は臨床研究を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度は臨床研究が出来なかったため、2022年度の利用額が生じた。2022年度は臨床研究を実施するため、予算を消化する予定はある。
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Research Products
(1 results)