2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of termination-of-resuscitation rules for out-of-hospital cardiac arrest-of-hospital cardiac arrest
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21K10324
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
後藤 由和 金沢大学, 医学系, 准教授 (60282167)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 院外心停止 / 蘇生中止 / 病院前救護 / 医療社会学 / 疫学 / 転帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(A)2013年に著者らが発表した「院外心停止例に対する来院時蘇生中止基準」の精度をさらに高めるために、新たな来院時蘇生中止基準(改良版)の開発と内部検証を行うこと、さらに、(B)2019年に著者らが開発した「現場蘇生中止基準」の外部検証を行うことを主な課題とした。(A)の課題においては、消防庁が集積しているウツタインデータ(N=465,657、2016-2019)を解析・検討した。その結果、傷病者が来院した時点で次の項目を満たした場合、すなわち、(1)初期心電図が心静止(2)目撃の無い心停止(3)救急隊の救命処置時間が20分を超えている(4)病院到着まで一度も自己心拍再開が無いの4項目すべてを満たした場合に、追加の救命処置を実施することなく、蘇生を中止できるとした。本基準は、心停止後1か月後の死亡予測に対する陽性的中率と特異度が共に99%以上であった。さらに、救急医療の地域差がこの開発した新基準に影響していないかを検討した。その結果、人口密度別に2地域間で比較したところ、都会地域と非都会地域共に、本基準の1か月死亡予測の陽性的中率と特異度はいづれも99%以上で2地域間で有意差は無かった。すなわち、開発された「来院時蘇生中止基準(改良版)」は、本邦の全地域に運用できると考えられた。また、(B)の課題においては、蘇生ガイドライン2015以降のウツタインデータ(N=466,452)を用いた。その結果、心停止後1か月の死亡予測に対する陽性的中率は99.7%、特異度は99.5%であり、本基準は適切であると考えられた。以上の研究結果は、欧州蘇生協議会2022、第25回日本臨床救急医学会、第50回日本救急医学会で発表し、特に(A)の成果は、Critical Care誌(2022;26:137, DOI: 10.1186/s13054-022-03999-x)に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の課題であった2課題をまとめ、国内外の学会で発表し、その一部を英文誌に掲載することができたので、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究は、18歳以上の成人院外心停止例を対象とした「蘇生中止基準」の開発を行ったが、今後は開発してきた「蘇生中止基準」が18歳未満の小児例にも、適応可能か検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
出席予定の国際学会に出席できなくなったため、学会参加費用相当額の次年度使用額が生じたことが主な理由である。次年次以降に開催される国際学会の参加費用とオープンアクセス投稿代金の一部に補充する予定である。
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